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» 2009年11月10日 08時15分 UPDATE

小松裕の「スポーツドクター奮闘記」:55.5%という数字がもたらす意味 (1/2)

招致に向けて準備を進めてきた東京の思いは実らず、2016年の夏季オリンピック開催地はブラジルのリオデジャネイロに決定しました。スポーツの世界に身を置く一人として、改めてさまざまなことを見つめ直す契機となりました。

[小松裕(国立スポーツ科学センター),ITmedia]

 海外出張が続きました。9月はデンマーク・ヘルニングで開催されたレスリングの世界選手権に帯同、吉田沙保里選手は見事に世界選手権7連覇を達成しました。10月はロンドンで開催された体操の世界選手権。ご存じの通り個人総合で内村航平選手が金メダル、女子も鶴見虹子選手が日本の女子として43年ぶりのメダルを2つ獲得しました。

 その間に1週間だけ日本に戻っていた10月2日に2016年の夏季オリンピックの開催都市がリオデジャネイロに決定しました。「2016年の東京オリンピック」は残念ながら実現しませんでした。

支持率55.5%

 体操の世界選手権でロンドンにいる間に、今回体操日本選手団の団長であった塚原光男さんといろいろな話をしました。「月面宙返り(ムーンサルト)」の元祖である塚原さんは、メキシコ、ミュンヘン、モントリオールと3回のオリンピックで金メダル5つ、合計9個のメダルを獲得し、現在は指導者として活躍されています。日本オリンピック委員会(JOC)でも理事、強化育成専門委員会の委員長として、ロンドンオリンピックに向けて指揮を取られています。

 競技会場であるO2アリーナに併設されているスターバックスで、塚原さんはオリンピック招致のことを語りました。

「もちろん残念だったけれど、わたしがもっとショックだったのは55.5%という数字ですよ。われわれスポーツ界はこの数字を真摯に受け止めなきゃいけない」

 つまり、国際オリンピック委員会(IOC)の調査で東京での支持率が55.5%であったこと、裏を返せば44.5%の人たちが東京オリンピックを積極的に望んでいなかったということです。これは、「だから負けた」というレベルの話ではなく、スポーツの素晴らしさ、東京でオリンピックを行うことの価値を国民に分かってもらえなかったということです。国民全員が一丸となってオリンピック招致を戦うことができなかった。このことを反省して、これからスポーツ界は努力を続けていかなければなりません。

日本の体操界をリードしてきた塚原光男さん 日本の体操界をリードしてきた塚原光男さん
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