セクシーさこそがZARAの経営哲学――「世界中を虜にする企業」経営のヒントになる1冊

魅力溢れる会社は、情熱やセクシーさといった人間的な要素によって顧客や社員を虜にする――。

» 2011年02月05日 08時00分 公開
[ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 ファッション業界で世界一の売り上げを誇るインディテックス社。そのトップブランドである「ZARA」は日本でもよく知られている。著者のヘスス・ベガ氏は、インディテックス社で人材開発のゼネラル・マネジャーとしてZARAを含む10のブランドを統括し、ZARAの日本進出も手掛けた経験を持つ。

『世界中を虜にする企業〜ZARAのマーケティング&ブランド戦略〜』 著者:ヘスス・ベガ、翻訳:溝口美千子、武田祐治、定価:1680円(税込)、体裁:四六判 上製本 224ページ、発行:2010年11月、アチーブメント出版 『世界中を虜にする企業〜ZARAのマーケティング&ブランド戦略〜』 著者:ヘスス・ベガ、翻訳:溝口美千子、武田祐治、定価:1680円(税込)、体裁:四六判 上製本 224ページ、発行:2010年11月、アチーブメント出版

 本書には、「官能」、「欲望」、「誘惑」といったおよそ経営やマネジメントとは結びつかない言葉が散りばめられている。わずか3週間で企画から流通まですべて自社内で完結する商品開発および供給の仕組み、広告を一切使わないマーケティングなどZARAが世界一のブランドにまで上り詰めた具体的な戦略を述べている。

 また、グーグル、アップル、スターバックスコーヒーなどを引き合いに出し、人間的な要素をオープンにして、その会社の人材、商品、サービスを愛してもらえるような企業を「セクシー・カンパニー」と定義付ける。例えば、スターバックスコーヒーはおいしいコーヒーを売っているのではない。コーヒーの香り、適度な音量のBGM、店員の紳士的な対応、座り心地の良いソファーなど、そのサービスが多くの顧客に支持されているのだ。

 ZARAの販売員は、声を掛けられるまで商品を勧めるようなことはしない。店内も商品の陳列数よりも顧客のスペースを優先し、広くゆったりと買い物が楽しめる工夫が凝らされている。こうした顧客や社員の心をとらえて離さない企業文化・経営哲学を醸成することが、これからの人材マネジメント、ブランド戦略の新しいトレンドになると提言している。

 その中で象徴的なのは、ヘスス氏が、当時会長であったアマンシオ・オルテガ氏とインディテックス社の入社面接を受けたエピソードだ。一通りの質疑応答を終えて、「最後に質問は?」と問い掛けられたヘスス氏。彼は「人事の幹部として私に求められる役割、会社が達成したい目標とは何でしょうか?」と聞き返した。するとオルテガ氏はこう述べたという。「人々を愛して欲しい。そのほかのことはあとからすべてついてくるさ」。

 まさに、同社の哲学が垣間見られるシーンである。セクシー・カンパニーを一人の人間に見立てて、その魅力をどう引き出せばよいのか、どのように顧客や社員を魅了していくのか。こうしたエピソードが語り口調でふんだんに盛り込まれている。

 世界一のファッションブランドはいかにして誕生したのか? 読者の心をとらえて離さない一冊といえよう。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆