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» 2011年05月11日 07時00分 UPDATE

エグゼクティブのための人財育成塾:SEのコミュニケーション能力向上がITを「武器」に変える〜その4 (1/3)

東日本大震災は、日本に大きな傷跡を残した。福島原発の問題も抱えながらの復興は容易ではない。しかし、この大惨事を日本の再生の契機にしようという力強い取り組みも始まっている。「スマートジャパン」への脱皮、そこでは言うまでもなくITを「武器」として活用することが求められる。このような変革を実現するためには、IT企業、そしてSEの付加価値の高い「提案力」が不可欠である。震災からの復興、失われた20年からの再起、そこで求められるSEの提案力を磨くためのポイントはどこにあるのだろうか?

[井上浩二(シンスター),ITmedia]

上流SEは全体を俯瞰する「鳥の目(Bird's-eye view)」を磨け

 「お客さまを理解する」、これはITの企画・提案を行う上での基本といえます。IT企業がお客さまのシステムを考える場合は当然のこと、社内システムの場合もユーザー部門、あるいは自社全体をお客さまと捉えて考えるべきです。しかし、実際にはこの基本がおろそかにされていることが非常に多いように思われます。IT企業の場合は、RFPが提示されてからその詳細の項目1つ1つにどのように応えられるか、それをいくらで実現できるかにばかり注力して提案を行っているケースをよく目にします。

 社内システムの場合は、ユーザー部門からの要求に対して「できない理由」を探し、IT部門の負荷を下げる事に腐心しているような事例も時折耳にします。これでは、「お客さま理解」に基づく付加価値のある提案にはなかなか結び付きません。そもそも、ITを提供する側としてどうしたらお客さまを理解できるのでしょうか?お客さまを理解するとは、具体的にどういうことなのでしょうか?

 「鳥の目」、あるいは「ヘリコプタービュー」という言葉をご存知でしょうか? 文字通り、一段高いところから全体を見渡す視点の事なのですが、経営戦略立案の際などに筆者もよくこの話をします。企業が今後の「ありたい姿」を検討する際には、目先の課題への対処法を議論するだけでは不十分です。自社を取り巻く環境がどうなっているのか、今後どのような変化が予測されるのかを俯瞰した上で、中長期的な視点を持って戦略を立案する必要があります。 この「鳥の目」は、ITの企画・提案を行う際にも同じように必要なのです。企業は、中長期的な戦略目標を実現するために「道具」としてITを活用するわけですから、ITの企画・提案を行う際にも当然同じ視点から物事を見る必要があります。そして、ITの観点から企業の「ありたい姿」をどう実現できるかを検討し、ITが単なる「道具」ではなく「武器」となるように企画・提案しなければならないのです。

 では、上流SEの「鳥の目」をどのようにして磨けば良いのでしょうか? 環境分析を行う手法などの基本は身につけておく必要はありますが、実践ではお客さまのアカウントプランの立案、もしくは自社のIT戦略の立案の場を活用する事が有効です。IT企業の場合は、お客さまに対してどのような提案を行っていくべきかを検討してアカウントプランを立てているところも多いと思いますが、このプランニングの際にどれだけお客さま視点で「鳥の目」を持って内容を考えているかを徹底的に議論するという手法です。

 企業のIT部門では、そもそもIT戦略を立案していないところも多いと思います。そのような企業では、まずIT戦略を立てるようにするところから始める必要があります。アカウントプラン、IT戦略どちらでも、可能であれば四半期に一度、少なくとも半期で進捗と環境変化の確認、今後の方針の修正の議論を行うようにします。これを繰り返していけば、必ず上流SEの「鳥の目」は鋭いものになっていきます。

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