ニュース
» 2012年04月26日 08時00分 UPDATE

ITmedia エグゼクティブセミナーリポート:経営のアジアシフトこそ、新興市場で勝ち抜く道 (1/2)

世界のあらゆる企業にとってアジアの新興国市場はすでに主戦場だ。中国の次の市場の選定を進める企業も少なくない。グローバル化に後れをとる日本企業は、新興諸国でいかに勝負すべきなのか。

[岡崎勝己,ITmedia]

日本企業にとっての“アジアで勝つ”とは

 中国はもちろん、ASEAN諸国を中心とする目覚ましい経済成長を背景に、アジア市場に対する関心がグローバルで急速に高まっている。停滞する日本国内の経済状況を踏まえ、国内でも“アジアで勝つ”ことの重要性が各種メディアで強く叫ばれるようになった。

深沢政彦氏 深沢政彦氏

 もっとも、“アジアで勝つ”が意味するところは、その企業が取る戦略によりさまざまだ。アジア各国の市場で売り上げを伸ばすこともその1つ。また、市場でリーディングポジションを確立するという意味にもとらえることができよう。さらに、自社の主要市場のアジアシフトに成功することだと定義する企業もあるだろう。

 A.T. カーニーのパートナー(当時)で、同社中国オフィス会長を務めたこともある深沢政彦氏は、3月15日に開催された「第23回 ITmedia エグゼクティブセミナー」の特別講演で日本企業のアジア展開の現状について触れ、そのたどるべき道筋に関して次のように示唆した。

「その企業の目指す姿と戦略によって描くシナリオも当然異なるので、すべての企業にとって絶対に正しい解はもちろん存在しない。ただ、今後の市場成長性を考慮すれば、縮小する日本市場を主軸に据え、余力で海外売り上げを伸ばす、という従来の考え方では限界があるのは明らかだ。成長著しいアジア圏での事業展開に本腰を入れる時期は、しばらく前に来ていることを再認識すべきだ」(深沢氏)

新たに生まれる20万人の中間層が持つ購買力

 多くの企業がアジア市場になぜ着目するのか。まず、人口がほぼ頭打ちである先進国とは対照的に、新興国では今後も人口が増大していくことがある。

 また、単に数の増大だけでなく、人口動態も鍵になる。一般に、経済成長に伴う国の人口動態は、4つのステージを経ると言われる。

人口動態からステージを4つに区分(出典:A.T. カーニー) 人口動態からステージを4つに区分(出典:A.T. カーニー)

「ステージ1(高出生率・高死亡率)」を経て、「ステージ2(高出生率・低死亡率)」で人口が自然増した後、労働人口が増大と出生率の減少が重なる「ステージ3」に差し掛かる。この段階では、消費の中心が、従来の生活必需品から自動車やエンターテインメントなど便利さや快適さを目的としたものへシフトする。消費市場として豊かになるため「スィートスポット」とも呼ばれる。このように、その国の人口構成がどのステージにあるかによって、企業が得られるビジネス機会も異なるというわけだ。

 さらに、新興国市場では「新たな消費」も増え続ける。例えば、中間層と呼ばれるセグメントがそれで、2025年までに約20億人の中間層が新たに増加し、そのほとんどはアジア地域で生じると予想されている。「この中間層のニーズをうまく掴んだのが、インドのTata Motorsだ。同社は、できる限り設計を簡素化した低価格車を市場に投入することで、これまで存在しなかった自国民向けの乗用車という新たなカテゴリーの開拓に成功した。このような市場の潜在力を考えれば、企業にとって決して無視できない存在であることは明白だろう」(深沢氏)

       1|2 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

「ITmedia エグゼクティブ」新規入会キャンペーン実施中!!

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

「ITmedia エグゼクティブ」は上場企業および上場相当企業の課長職以上の方が約5500人参加している無料の会員制サービスです。

会員の皆さまにご参加いただけるセミナーや勉強会などを通じた会員間の交流から「企業のあるべき姿」「企業の変革をつかさどるリーダーとしての役割」などを多角的に探っていきます。

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -
世界基準と日本品質を極める Clients First with Innovation & Japan Quality

アドバイザリーボード

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆