MBA社長は仕事をシンプルに考える――できない部下を「できる人」にビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

チーム全体でのパフォーマンスの最大化が、マネジャーの仕事だ。必ずしも全員にホームラン・バッターの役割を期待する必要はなく、未熟なメンバーはどのように平均点プレーヤーにしていくかだ。

» 2012年09月20日 08時00分 公開
[山田修,ITmedia]
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リーダーの仕事は部下を元気に働かせること

「MBA社長は仕事をシンプルに考える」

 「MBA社長は仕事をシンプルに考える」(山田修、マガジンハウス)を上梓しました。

 この本自体は20代、30代の若手社員、あるいはリーダー職クラスのビジネスパーソン向けに書いたモノです。でも、そんな若手社員を部下に持っているマネジャーやエグゼクティブの皆さんに読んで貰っても十分参考にして貰えると思っています。

 それ、孫子も「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」と言っています。ここで「彼」とは「敵」のこととされていますが、マネジャーたるもの、自分の部下をしっかり掌握して能力開発させることは「百戦危うく」ならない第一歩となります。というのは、今更ながらですがマネジャーの責任というのは、任された部門のパフォーマンスを最大化にすることなので、組成員全員の能力を早期に引き出す必要があるからです。

「シンプル仕事術」を伝授しよう

 近年、部門を預かるマネジャーの大きな悩みは、若手や中堅の部下達の意欲低迷です。「笛を吹いても踊ろうとしない」、あるいは「昇進、昇格への意欲そのものが低減してしまっている」ということをよく耳にします。今や若手の部下達は男女を問わず「草食系」だとか、「ぶら下がり社員」だとか言われているわけです。

 そんな燃え上がらない、あるいはくすぶっている状態の部下達にいかに火を付け、いきいきと働いてもらえるように仕向けるか、それが現代のマネジャーに課せられた現代的な課題の1つとなってきました。

 でも今の若手社員が全くやる気がないのか、貢献意欲がないのか、というとそうでもないわけです。彼らはできれば「仕事をテキパキこなせるようになりたい」と願っていますし、対人関係に敏感な世代なので「同僚や上司から“

あいつ、やるな”と言われるようになりたい」などと思っているわけです。

 しかし一般的に言えば、自分で工夫したり、考えようとすることが少ない世代です。となれば、上司である皆さんが、工夫の仕方や働くに当たっての考え方を指南して上げればよい、ということになります。わたしの新著では、そんなヒントを「シンプル仕事術」という形でくくって説明してみました。

仕事をシンプルに捉えさせる

 若手社員や経験の浅いスタッフが悩んでいることの1つが、「どうすればうまく仕事をできるようになるのか」という単純なことなのです。こんな社員に対しては、マネジャー自身が手取り足取り教えてあげる必要はありません。というか、そんなことをしていては切りがない。

 同じ職場の中でコーチ役を指名して、その先輩社員のやり方を徹底的にマネしろ、とします。コーチ役にする先輩社員はもちろん、当部門で一番その仕事ができる人を任命します。別に組織上で正式な形にする必要はありません。後輩の方が「普通に」業務ができるようになるまでの一過性のモノとします。チームの中でのマネジャーの役割とは、このように「自律的に向上していける仕組み」を作っていくことです。

 それから、新人などで習熟度が低い社員は「どれだけ業務をこなせるようになればよいのか」分からず、焦っている場合があります。「まず平均点を取れるようになってくれればよい」と、あまり高くない期待度であるということを教えてあげると、肩の力が抜けて落ち着いて仕事をするようになります。

 預かったチーム全体でのパフォーマンスを最大化することが、マネジャーの仕事な訳です。となれば、必ずしも全員にホームラン・バッターの役割を期待する必要はありません。まだ未熟なメンバーに関しては、どのように平均点プレーヤーにしていくかを考えます。

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