「それ、根拠あるの?」と聞かれた時の統計分析ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

難しそうに思える統計分析だが数字への手の加え方で見えなかった情報が見えてくる。ちょっとしたコツとノウハウで数字を有効活用できるようになる。

» 2014年02月27日 08時00分 公開
[柏木吉基,ITmedia]
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 データ分析が「できる人」と「できない人」の違いは、一体何なのでしょうか。分析手法の知識を深めれば、果たしてエキスパートとしてガンガン分析をして結果を出せるようになれるのでしょうか。

「それ、根拠あるの?と言わせない データ・統計分析ができる本」

 実は、必ずしもそうではないと思います。もちろん、私も複数の分析手法についての知識はそれなりに持ってはいます。でも、その知識や使える手法の数の多さそのものが、自分の実務のパフォーマンスに直結しているとは考えていません。

 さらに、一般のビジネス実務で使う統計分析は、単回帰分析までできれば充分です。具体的には、例えば新規事業企画書に活用する一例として下記のようになります。他にも用途は色々とあると思いますが、それぞれの手法の特徴をお互いに補完しながら効果的に企画ストーリーを作り上げた例です(具体的な使い方については『それ、根拠あるの?と言わせない データ・統計分析ができる本』で紹介していますので、関心のある方はお目通しください)。

  • 平均値・中央値 → 市場の規模をつかむ
  • 標準偏差とヒストグラム → 計画通りにいかないリスクを評価する
  • 相関分析 → 効果的な施策を特定する
  • 単回帰分析 → 計画性・収益性を定量的につかむ

 統計の本ではさまざまな手法が紹介されていますが、実際には、これだけあれば一般的なビジネス実務には充分対応できます。それと併せて、状況によって全く違う顔を見せる、さまざまな実務課題にデータ分析を応用するための「数字センス(コツ)」や「思考パターン(考え方)」も大事です。

 今回は、統計分析をするための「コツ」の部分を紹介します。

課題と分析をつなぐ「仮説アプローチ」

 課題解決や企画策定の「思考パターン」の中でも、重要なのは「仮説」アプローチです。実現したい目的と、分析やデータなどの方法論をつなぐ大事な役目を果たしてくれるからです。このアプローチが頭にあるだけで、たくさんのデータや分析手法の間で右往左往したり、課題を前に何をしたらよいか途方に暮れてしまうような事態を減らすことができます。

例えば、「商品のデリバリーが遅い」というクレームが得意先から続いたとしましょう。そんなときは、当然、「なぜ遅くなっているのだろう?」とまずは考えます。

 では、次にどのような行動を取るでしょうか?

  • 商品発送担当者に問い合わせる
  • 過去の配達記録を確認する
  • 配達ドライバーに問題がないか調べる

 などなど、いくつかの選択肢を考えるのではないでしょうか。

 では、どうして、このような「選択肢」が浮かんできたのでしょうか。恐らく、過去の経験や勘、常識などから「ここに問題があるかもしれない」という考えが引き金になっているのだと思います。

 この思い付きが「仮説」と呼ばれるものです。

 ただ、「仮説」はある意味「思い付き」でもあるため、その妥当性を確認(検証とも言えます)する必要があります。その手段として威力を発揮するのが、数字(データ)であり、統計や分析です。

 例えば、商品発送担当者に原因があるのではないかと思ったら、複数の商品発送担当者の処理数を比較するとか、現在の体制に問題があるのではないかと思ったら、過去の配達記録と比較して問題を特定するとか、仮説にあったアプローチが取れます。データを使った分析により客観的な判定ができるため、その仮説が「的外れ」であったり、「さらに調査が必要」だったり、「ドンピシャ!」であることが説得力を持って分かるのです。

 まずは「仮説を持つこと」。自分は○○をしたい/知りたいという目的に直結した「仮説」が明確であることが、分析の最初の一歩を踏み出すときの重要なステップといえます。

 目的 → 仮説 → 手段(および必要なデータ)を明確にしてこそ、意味のあるデータ分析ができます。

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