戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

世の中の仕組みを理解し、どう寄り添っていくかという発想がないと素晴らしい商品やサービスであっても、うまくいかない。あらゆる分野において、戦略PRの発想が求められているのだ。

» 2017年05月25日 07時25分 公開
[本田哲也ITmedia]
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『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』

 企業の経営者や経営幹部にはさまざまな素養やスキルが求められるが、とりわけ昨今重要になってきているのが「戦略PR」の発想だ。

 そもそもPRとは何か。

 PRとは、本来はパブリックリレーションズ(Public Relations)の略で、直訳すると「公的な関係性」という意味だ。企業であれば、消費者はもちろん、株主や取引先企業、メディアや専門家といった周辺の利害関係者と良い関係を築き、それを維持する。要は「企業や組織がいかに世の中とうまくやっていくか」。そのための戦略やノウハウの総称が「PR」というわけだ。

 海外のビジネスリーダーは、PRの専門家でなくとも、PRについて深く理解している。PRを戦略的に利用し、ビジネスの成功に結びつけている。ひるがえって、日本はどうかというと、残念ながら世界レベルで見るとまだまだ周回遅れだ。

 日本の多くの企業では、会社や製品をメディアに露出させる行為――「パブリシティー」をPRだと勘違いしている。もし、あなたがPRは広告代理店やPR会社の仕事であり、組織を率いたり、新規事業を開拓しようとしたりしている自分たちには関係のない話だと考えていたら、そこには大きな誤解がある。

 PRとは、いわば「世の中を舞台にした情報戦略」で、究極の目的は「人の行動を変えること」(ビヘイビアチェンジ)にある。今回出版した『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』では、最新の事例を交えながら、世の中を動かすPRの法則を解き明かしている。

 世の中はもとより複雑なものだ。さまざまな力学や利害関係、「大人の事情」が影響し合い、情報量の爆発的な増加や、消費行動の多様化が複雑さに拍車をかける。そんな中、企業が人や社会を動かそうとする試み――マーケティングや企業コミュニケーションは、ますます難しくなっている。

 しかし、あながち悪いことばかりではない。複雑化した世の中では、同時に「可視化」も進んでいる。ソーシャルメディアとスマホの普及によって、私たちの情報消費リテラシーは飛躍的に向上した。企業としては危機管理が重要になった反面、前向きにとらえるなら、これまで以上に世の中の仕組みや社会関心を戦略的に活用できる時代である。

 そしてそれこそが、PRの領域に他ならないのだ。

 ビジネスリーダーとは平たくいえば、行動を起こすべき理由を説明し、人を動かすのが仕事だ。この記事を読んでいる皆さんはおそらく、部下に対し「なぜ、この目標を目指さなくてはいけないのか」「なぜ、この商品が素晴らしいのか」を的確に説明するのも得意だし、組織が向かうべき方向性を分かりやすく示す能力にもたけていることだろう。

 だが、それだけでは十分とは言えない。今や、テレビCMをはじめとするマス広告を打つだけでは人は動かない。世の中の仕組みを理解し、どう寄り添っていくかという発想がないと、どれだけ素晴らしい商品やサービスであっても、うまくいかないのである。つまり、あらゆる分野において、戦略PRの発想が求められているのだ。

 では、ビジネスの現場で戦略PRの発想とはどのように生かされているのか。ここでは、たった数人で顧客を数倍にした会社の話をしよう。

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