電子政府/自治体のCIOは一体何をもたらすのか?(2/2 ページ)
その一方で、民間企業の技術力や専門性と、行政実務の知識や経験の融合を通じた県の業務改革も注力。今年は「WiMAX」などを4つのテーマで共同研究の受託先を公募した実績を誇る。
川島氏は、行政機関には今後、県全域の産業発展に向けた調停者としての役割が求められると見る。企業間の法的紛争を円滑に解決するためのルールを策定などが代表的なものだ。
「CIOは業務改革、県庁情報化、地域情報化、地域IT産業育成という面から行政を支援し、地方自治体の発展に貢献することが今、期待されている」(川島氏)
自治体にとって理想的な広報の“姿”を捉えなおす
さまざまなステークホルダーに対する広報活動の重要性は、企業にとって年々増しつつある。これは、地方地自体においても同様だ。市民サービスの向上のために、住民に対する密な情報提供を欠かすことができないからだ。
トヨタ自動車で常務役員を務める中井昌幸氏は、長年の広報業務経験を基に広報活動におけるポイントを説明した。
中井氏によると、広報活動を行う際に最初に実施すべきなのが、社会から自分の組織がどのように見られているのかを把握することだ。そのためには、組織の内外を問わず意見や情報を収集しなければならないという。同社では毎日、世界中の報道による影響の分析に時間を割いているという。
「一昨年ではイメージ向上につながるニュースに79億人、イメージ悪化につながりそうなニュースに3億人が到達した。特に後者は対応が遅れるほど被害も拡大する。広報担当者は社内へ情報をフィードバックする重要な役割も担っている」と、中井氏。
収集された情報は、広報活動にまつわる企画立案に活用され、情報発信プロセスも見直す。企画から発信までを円滑に進めるには、企画に合わせて容易に内容を構成できるよう、組織内で活用が見込めそうな情報を絶えず探りつづけておくことがポイントだという。また、発信した情報に矛盾が生じないよう、関係者の間での情報共有の徹底も不可欠だ。
情報発信後に欠かせない作業は、広報活動を改善するための効果測定作業だ。トヨタ自動車では、そのために全国を複数のエリアに分け、各エリアの販売店や新聞社に意見を聞くための機会を定期的に設けている。自治体においても、第三者による定期的な広報活動のチェック機能は欠かすことができないだろう。
トヨタ自動車は社会貢献活動を積極的に推進するため、約90名の社員から成る社会貢献推進部を組織。現在、中国での植林活動などを進めるとともに、取り組みの周知に力を入れている。その理由は、良き企業市民として同社を改めて正しく認知してもらうためだ。
「これまで同様の活動を行ってきたものの、従来はあえて積極的に広報してこなかった。しかし、社会貢献活動の重要性が世界的に強く叫ばれる中で、事業活動以外の社会貢献を周知する必要を痛感するに至った」(中井氏)
広報活動のあるべき姿や、組織の歴史や活動内容に加え、時代にも左右される。各自治体には市民サービスの向上に向け、それらを総合的に捉え、理想の姿を自ら見極めることが求められているのかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
2026年版「世界のストリートフード都市ランキング」発表、1位はホーチミン
-
2
「AIが勝手にやりました」は通らない トラブルの瞬間に試される責任の所在
-
3
DX・AXプロジェクトの成功に必要な条件とは - コスモエネルギーHD ルゾンカ氏
-
4
新顔相次ぐ小型電動モビリティー 優れた環境性能、免許返納した高齢者の「次の足」に注目
-
5
第53回:なぜ、日本企業では「考えるマネジャー」が育たないのか──AI時代、「言われたことは得意だが、課題抽出や提案は苦手」な組織から脱する方法
-
6
画面の中だけで満足してない? AIが「現実世界(フィジカル)」を動かし始めた衝撃
-
7
世界のトップ層は何を議論している? 第一線の論客から見えた「やらかしの正体」
-
8
なぜコーポレートITはコスト削減率が低いのか――既存産業を再定義することでDXを推進
-
9
AIが委託プロセスを正す! スノーピーク田中氏が示す開発共創プロセス
-
10
「仕方ないインシデント」まで全力を尽くせるか - さくらインターネット 江草氏
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー