「IT部門は無駄飯喰らい」「CIOに戦略意識が必要は俗説」(1/3 ページ)

CIOはどうあるべきか――ワセダCIOフォーラムでは「会社を変える CIO」と題して、2人の現職CIOを交えたパネルディスカッションが行われた。大きな改革を成し遂げた両氏の活動が1つの参考になるかもしれない。

» 2007年12月07日 09時00分 公開
[岡田靖,ITmedia]

 CIOは経営の一翼を担う、企業の経営戦略上でも非常に重要な役職だ。特に、ITがかかわる業務改革はCIOの仕事ぶりで、成否が大きく変わる。しかし、そのあり方や求められる能力は事業内容や規模、ステージによって大きく異なる。CIOの「あるべき姿」を明確に定義するのは非常に難しいところだ。

 11月22日に開催された早稲田大学で開催された「ワセダCIOフォーラム」では、「会社を変える CIO」と題して2人の現職CIOを交えたパネルディスカッションが行われた。

事業部門を手助けするのがCIOの仕事――オムロン・樋口CIO

 オムロン執行役員常務事業プロセス革新本部長の樋口英雄氏は、IT部門に在籍した後に、業務部門であるセンサー部門へ移って事業部長まで務め、CIOとしてIT部門に戻った。自らの役割を「いかに収益構造を改善するか」だと説明する。

 業務プロセス革新として取り組んだのはSCMの改善だ。同社では「Factory Managed Inventory」を掲げ、工場が顧客に商品が届くまでの責任を負う制度を取り入れた。その上で、生産管理はもちろん商品物流、部材調達までトータルで、顧客視点を取り入れる改革を進めたという。

樋口英雄氏 オムロン執行役員常務事業プロセス革新本部長の樋口英雄氏

 「当社の特徴は、ニッチ&グローバル、商品が多岐にわたるだけでなく、仕入れ先や生産拠点は日本だけでなく中国にも存在する。調達体制に関しては、一般的に行われる1対1でなく多対多の関係に変えた」

 このサプライチェーンを支えるために、パッケージとオリジナルのシステムをSOA的に組み合わせた。「製造業として一般的な部分はパッケージを採用しつつ、競争力となるコア部分にはきっちりと独自のものを使う」というわけだ。

 ITの構造改革には、社内の他の事業と同じくQCD(品質・コスト・納期)にKPIを設定して、それを実践するようにした。その結果、売上高に占めるITのコストは、2年前に樋口氏が着任した時点で2.4%だったのが、現在では1.7%まで下がったという。「最終的には1.5%まで下げたい」と、樋口氏。

 CIOとしては「あくまでも、事業部門の『やりたい』という気持ちを大事にしている」と話す。

 「ヘッドクオーター部門として、事業部門の独力でできない部分を手助けしている。我々は無駄飯喰らいと思われがちな立場だから、最初に自ら率先して可視化やスリム化を進めた。それが現場の動きを刺激し、良い関係を築ける」

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