石井氏は、データ統合を推し進めるべき情報の1つとして、顧客情報や商品情報などの「マスターデータ」を挙げる。これまで、マスターデータは個々のアプリケーションごとに管理されていたが、それらを独立させるとともに情報間の整合性をとることで、分析システムやトランザクションシステムに、横断的にマスターデータを提供することできる。ひいては、さまざまな業務を通じて収集された情報の多面的な分析が可能になり、SCMやCRM分野で大きな効果が見込まれるわけだ。
「マスターデータを統合し、それらの分析環境を整備することで、クロスセリングの強化や業務プロセスの見直し、サービスの拡充などを見込むことができる。売上増加やコスト低減、販売チャネルの強化といった多様な効果を期待できるようになるわけだ」(石井氏)
情報統合は、システムの新規開発を容易にし、それに掛かるコストの低減にもつながる。統合作業を通じてデータモデルの標準化や、データに対するシングルビューが提供されるためだ。また、情報の信頼性が高まることで、“戦略情報”の精度も必然的に高まることになる。
「SOAにより情報統合のための基盤を構築するだけでなく、マスターデータを統合することで意思決定を支援する環境を整備する。経営環境がますます厳しさを増すなかで、より大きなイノベーションを生み出すために、情報統合の価値はますます大きくなっている」(石井氏)
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授