「ビジネスモデルには、少なくとも論拠・戦略・前提の3つのモデルが必要。その各ビジネスモデルは、成立するための前提(コンテキスト)をそれぞれ持っている。だから、それらの前提がクリアにならない限り、どのようなデータを見える化すべきかさえ分からない」(根来氏)
最後に、根来氏はセブン−イレブンジャパンの情報武装について説明した。同社は仮説検証を行って顧客ニーズを見える化すべく、POSやコールセンターでの情報収集を進め、顧客の購買行動解析を行っている。本部では情報分析システムを段階的に進化させ、次第に蓄積データも充実させていった。
一方で、セブン−イレブンは数々の会議を開催していることでも知られている。
例えば各地域統括マネジャーが情報交換をする「マネジャー会議」、役員や全国の幹部社員が集まる「業務改革委員会」、加盟店経営指導員や開発員などが集まる「FC(Field Counselor)会議」などが毎週開催されている。
「年間の会議運営費用は約25億円にのぼるという。データだけで仮説検証できるなら、このようなことは不要だろう。しかし、どれだけITが進んでも事実のすべてをデータとして利用することはできない、と彼らは考えている。データを使う論拠を見える化するために、このような会議を行っているというわけだ」(根来氏)
事実やデータの見える化は、ITなどの道具を使うことで可能になる。しかし、現状の道具では、論拠の見える化は実現できない。それは、ヒトが意識的にクリアしていかなければならないものだという。
「アクションの論拠となる仮説の見える化は、ミーティングなどで分析と討議を行うことによってのみ可能となる。ビジネスモデルのコンテキストを導き出し、クリアにするには、そのモデルが持っているコンテキストを表に出し、ディスカッションし、共有することが不可欠。ITとヒトの両輪が必要な理由だ」(根来氏)
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授