ITインフラは、今後のビジネスの戦略基盤にならないばかりか、運用コストを増大させる一方だ。IT調査会社ITRの代表取締役内山悟志氏は「ITインフラの問題を解決できるのは、今がラストチャンス」と話す。
アプリケーションの増加に従い無計画に拡張を続けたITインフラは、今後のビジネスの戦略基盤にならないばかりか、運用コストを増大させる一方だ。この足かせを軽くすることに本気で取り組まなければならないときが来ている。
「ITインフラの問題を解決できるのは、今がラストチャンス」――IT調査会社アイ・ティー・アール(ITR)の代表取締役内山悟志氏はこう強調する。
内山氏がITインフラの危機を訴えるのは、運用管理が限界に達しているためだけではない。匠の技術でホストを支えてきた団塊の世代の退職もある。オープンシステムを対象にした新しいアーキテクチャに完全移行しなければ「技術の空洞化が起こる」。現状を維持していくにも残された時間は少ない。
さらに、SOAやSaaSなど新しいITのあり方に対応するためにも基盤となるインフラを今見直しておかなければ、「EUC(エンドユーザーコンピューティング)が登場したときと、同じ過ちを犯すことになりかねない」という危機感もある。
そこで内山氏が提唱しているのが「IT都市計画」だ。ビジネス戦略とITとの整合性を図るためのEA(エンタープライズ・アーキテクチャ)同様、インフラの計画性を持つことで、無計画で場当たり的な拡張に終止符を打てるようにしたいというわけだ。
とはいえ、IT部門は既に複雑化したITインフラを背負いながら、IT都市計画を策定し、段階的な区画整理を行わなければならないことになる。その実行は難しいここになるのは間違いないだろう。
内山氏は「いつでも阻害要因になるのは、抵抗勢力と経営者の理解の2つだ」と話す。
「EAと言って経営者に理解されるとは思えない。それでは全社プロジェクトに発展しないばかりか、頓挫することになる。道半ばで終わりかねない」。EAをIT都市計画と置き換えることで、経営者にも分かりやすくその重要性を訴えることができると考えている。ITインフラは直接の収益に結び付かないために、いざ手を着けるのが難しい。区画整備によって業務が変われば、既得権者で構成される抵抗勢力も登場する。経営者の十分な後ろ盾が欠かせない。
「トップダウンで進む米国でもIT都市計画を実行するには5年かかっている。米Hewlett-Packardはデータセンターの集約を図っているがやはり長期的な展望に基づかなければできない」
このように道のりは長いが、日本企業は有利な立場にもある。「終身雇用に支えられた日本企業は、長期展望に基づいた計画は得意なはず。欧米の企業よりもむしろ有利に立場にある」と、内山氏。
内部統制によってIT都市計画でも最初のステップとなるITの棚卸や見える化も数年前に比べれば格段に進行している。内山氏の指摘する「ラストチャンス」を生かせるか、将来を見据えた基盤づくりに向けて、IT部門の力量が問われている。
企業のIT環境は複雑化と肥大化の一途をたどっており、維持運用コストの増大に加えて、ビジネス要件の急速な変化に追従することが困難となっています。今後は戦略的な情報活用や業務のさらなる高度化に向けてIT基盤の備が重要課題となります。
セミナーイベント「NetApp Focus 2008」では、株式会社アイ・ティー・アール(ITR)の代表取締役で、「ITmedia エグゼクティブ」の人気コミュニティーリーダーでもある内山悟志氏が「成長と環境変化を見据えたIT都市計画」と題した基調講演を行います。
ITに対する企業の力量が問われている中、中期的な将来を見据えたIT都市計画のあり方について言及します。
そのほか、業界の著名人による特別講演やNetAppのエクゼクティブによるゼネラルセッションなどを通じて、ますます複雑化するデータ管理基盤の課題を解決するNetAppのデータ管理ソリューションをご紹介いたします。
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