採用市場の変化により、新卒の学生を“お客様”のように扱う企業もある中、日本HPは仕事の厳しさを教え込むことで適性を見極めるという。
「第1回:学業に支障のない採用活動を 日本IBM」はこちら
特集「欲しい人材をどう採るか」。第2回は日本HP。調査会社の米IDCが先日発表した「2008年第1四半期の世界パソコン市場出荷台数」において首位を維持したHPは、日本の学生の間でも知名度が高まっている。しかし、良い面しか見ずに応募する学生に対しては、しっかりと現実を突きつけるという。日本HPは入社を目指す学生に対し、何を望み、何を伝えているのだろうか。人事統括本部で人材採用を担当する吉武幸子マネジャーに話を聞いた。
――新卒採用の時期と人数について教えてください。
吉武 ここ数年の採用人数は150人規模です。理系が多く、職種は技術職が7〜8割です。選考の開始時期は4月以降です。
――HPが望む人材とはどういうものなのか、また獲得に向けてどういう取り組みをしているか教えてください。
吉武 「企業理念」に共感してもらうことが必要な条件です。会社セミナーや書類審査、面接といった採用過程の中で、学生に向けてメッセージを発信していくことで、HPの考えや方向性を理解してもらいます。これは新卒だけでなく中途にもいえることです。
入社時には、IDカードとともにHPのコアバリューを書いたカードが渡されます(下図参照)。社員は常にこれを携帯し、内容をそらで言えなくてはなりません。このように、企業の理念や価値観に共感し、大切にする人が望ましいです。
――この企業理念は創業当時から変わらないものですか。
吉武 2002年にHPと旧Compaq Computerが合併した際に、時代に合わせて新たに「The New HP Way」という企業理念を作りました。「顧客への熱意」や「信頼と尊敬」、「チームワーク」などを掲げるこの理念はトップダウンで決めたわけでなく、社員全員がかかわっています。まずは世界中のローカル拠点で意見を出した後、それらを本社で集約し、最終的にはプロジェクトチームが議論を繰り返して決定しました。
また採用する上では、自分がどのような仕事に向いているかを自己分析できるスキル(キャリアセルフリライアンス)も重視しています。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授