スイスの時計産業の例を見ても分かるように、マーケティングもやはりイノベーションにつながるようなものであるべきだ。そのためには、何をすべきだろうか。
顧客のいないビジネスは存在しないわけだから、何よりもまず大事なことは顧客から学ぶことである。それも顧客が気付いているPainよりも、顧客も気付いていないPainを見付け出すことである。
そのための1つのアプローチ法が、民族誌学的アプローチである。これは、いわゆる"Lead-User Theory"の発想に近いもので、まず仮説を持って複数の顧客サイトをピックアップして訪問ヒヤリングし、最終的に1つのサイトに絞り、その顧客サイトで顧客を徹底的に観察するというものである。したがって、これはフィールドワークである。
具体的に何をするかと言うと、まずワークフローを分析して問題点を洗い出す。これは、私たちのビジネスを想定してもらえばいい。
次に、顧客と課題を共有し、改善案を提示する。さらに、プロトタイプにて実際の業務で使用してもらい、それが本当に有用なのかどうか、効果の測定を行い、プロトタイプを撤収する。もちろん、それがものになりそうだと分かったら、商品化するわけだが、このアプローチの特徴は、実際にプロトタイピングして、ニーズの確からしさを高めるプロセスにある。
その意味で、これは新しいマーケティングであり、そこまでの提案ができれば面白いものになるに違いない。
今、世界のリーディングカンパニーは積極的に外部にオープンなソースを求めている。さまざまな技術がコンバージョンして新しいものが生まれるように、企業も単独で活動するのではなく、他の企業とつながってオープンに活動することが大事になってきているのである。マーケティングによるイノベーションには、そういう戦略的なチャレンジも必要であり、パートナー企業とあるところでは競合したり、またあるところでは協力し合ったりすることがますます大事になる。。(早稲田大学 IT戦略研究所主催「エグゼクティブ リーダーズフォーラム 第21回インタラクティブ・ミーティング」での講演をもとに構成)
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授