社会が多様化していくことに伴い、商品を選ぶ消費者の視点も変わりつつある。自分自身にとって身近で親近感を持てる存在を好む彼らには、従来のように企業からの一方通行では通用しない。
「消費者マーケティング」とは何か?まずは本題に入る前に「日本」というマーケットを考えてみたい。
日本は常々「ものづくりの国」と言われるくらい技術先行方の商品作りが主流で、テクノロジーを核にマーケットをけん引し、様々な産業で技術が成熟しきるまで消費者に目を向けることは少なかった。
近年、日本の消費をけん引してきたマーケットに携帯電話業界がある。通話から始まり、Eメール、カメラ(写メール)、インターネットが閲覧出来るiモードの登場、現在では音楽機能に電子マネー、ワンセグTVまで、まさにものづくり大国日本にふさわしい超テクノロジーけん引型マーケットである。
しかし、ほかの産業と同様、携帯電話市場も大量生産/大量消費の時代が終わり、技術先行では商品が売れなくなった。
そんな市場の変化と連動し、業界トップのNTTドコモのシェアが下降している。戦略の見直しが迫られたNTTドコモは今春、コーポレートブランドのあり方を見直し「新ドコモ宣言」なるビジョンを発表した。
1. ブランドを磨きなおし、お客様との絆を深めます。
2. お客様の声をしっかり受け止め、その期待を上回る会社に変わります。
3. イノベーションを起し続け、世界から高い評価を得られる企業を目指します。
4. 活き活きとした人材で溢れ、同じ夢に向かってチャレンジし続ける集団となります。
まさに技術先行型から消費者志向型への戦略転換である。
NTTドコモは元々業界内のシェアが大きいゆえに、ターゲットを明確に定義できずにきた。一方をメインにコミュニケーションすればもう一方が離れるのを恐れているためだ。
しかし今の成熟した日本のマーケットで誰もが買うものなど、もうないのだ。であればトヨタ自動車のように、スモールカーからラグジュアリーカーに至るまで(以前はカローラからクラウンまでという言葉があったように)、多様な顧客のニーズに対応出来る戦略を取らなければならない。
NTTドコモは自社の顧客を明確化する岐路に立たされている。
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明治学院大学 経済学部准教授