テンキー型ソフトウェアキーボードが新たに追加された文字入力は、想像以上に素晴らしいものだった。連打することで文字を変えてゆく従来の携帯と同様のやり方に加えて、指を置いたままにすると四方に同じ行の文字が現れる、タッチスクリーン型のソフトキーボードならではの方法もあって、これも少し練習してみるとなかなか使えるものだということが分かった。これまでiPod touchで文字入力する機能はほとんど使っていなかったが、これを機にメモ帳やスケジュール機能を従来の手帳と並行して使い始めるようになった。やれ日本の携帯はメール文化だとか、ガラスが汚れるのに抵抗があるとか、iPhoneの決定的な弱点であるかのように言われた文字入力であるが、意外にも慣れれば人は簡単にスイッチしてしまうものだということを実感した。
そして最もiPhoneらしいというか、MacOSを使用したWeb2.0らしい特徴であるAppStoreについては、店内をまだ十分に探検できていないのであまり偉そうなことは言えない。しかし、まだキットが公開されて時間があまり経っていないので、公開されているソフトに対してかなり厳しいレビューが入っているのをよく見かけるが、それはそれで納得はできるし、よいことだと思う。ソフトウェアとは本来そういうものだ。iPhoneを刹那的なブームとしてではなく、長い目でその将来を考えていく上である意味で最も重要な領域であるだけに、ここは少し時間をかけて様子を見てゆくことにしたい。
今回非常に驚いたのは、Yahoo! JapanのサイトがiPhone対応になったこと。これは日頃PCでヤフーのお世話になってる人にはかなり強力なものだと思う。すでにGoogleもiPhone専用のサイトを用意しているが、現時点ではコンテンツの豊富さや使いやすさからすればヤフーに軍配をあげておこう。基本的にはPCサイトのコンテンツをサーバ側で動的にiPhoneの画面に最適化するように組み替えているだけなのだが、PCサイトの感覚がそのまま活かせて見ることができるので、筆者のような携帯サイトが苦手な者からすれば非常にありがたい。ウェブサイトの世界でもPCや携帯の区別を考えない、新しい時代に入ってことを実感することができた。
Microsoft OfficeのWord、Excelに加えてPowerpointのファイルを開くことが出来るようになったのだが、これも実際に試してみるとなかなかのものである。スライドがテキストだけでなく図形やグラフなどもそのままに実際のイメージとして見ることができるので、プレゼン前の移動中に事前打ち合わせとして、同行している人に内容をチェックしてもらうというようなことにも使えそうだ。WordやExcelもそうだが、ここまでPC画面と同じように表示されると、少しでも編集を加えられればいいのになあと思うのは誰しも感じるところのはずである。そこには「手のひらに収まるPC」の具体的な1つの姿があると言えるだろう。
とまあ、iPhoneは買わずともその機能そのものであるiPhone 2.0ソフトウェアを入手することで、個人的に気になっていたほとんどの機能を試すことはできた。そろそろ発売後のお祭り騒ぎも冷め、これを携帯電話として使うか、サブPCとして使うかでiPhone 2.0とのつきあい方は大きく変わってくることだろうと思う。筆者の結論としては、やはりiPhoneは電話ではなく、まぎれもないコンピュータである。自宅や職場をはじめ日常的な行動範囲でWiFiへの対応を準備できている人にとっては、3G回線はむしろサブネットワークということになるはずだ(何度も繰り返すが高価なネットワークである)。そうしたところから、PCと携帯電話が機能的にマッシュアップされた、新しい端末やアプリケーションサービスの時代が静かに幕を開けたのだと思う。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授