今、ITを活用することで企業は何をすべきと考えているのか。日高氏によると、この点について日本企業とグローバル企業の間の明確な意識の差を見て取れるという。
ITの活用を通じて期待する事項として、日本とグローバルの双方とも「ビジネスプロセスの改善」や「新商品/サービスの開発」などが共通して上位に挙げられたものの、以下、日本では「既存顧客との関係強化」が、グローバルでは「新規顧客の開拓」が続いた点で明確な違いが表れたという。
また、IT戦略における優先事項として、日本では最上位であった「ITガバナンスの改善」がグローバルでは7位であったのに対し、グローバルで最上位の「ビジネスの成長を実現するプロジェクトの提供」は日本では4位となった。
「日本ではITを“攻め”の武器に活用しようと考える傾向がグローバルほど強くない。これも、日本では総じてボトムアップ型でITの利用を慎重に推し進めることから、その活用がグローバルほど進んでいないことの表れにほかならない」(日高氏)
一方で、日本、グローバルの双方で共通したのが、採用を優先するテクノロジーとしてBI(Business Intelligence)をトップに挙げた点だ。この理由として日高氏は、経営環境がますます厳しさを増す中で、企業内の情報を統合し、仮説検証の作業をより入念かつ短期間に行うことが競争を勝ち抜く上で極めて重要になっているためと分析。実際に、BIの活用範囲をビジネスプロセスの管理にまで広げ、BAM(Business Activity Monitoring)の活用にまでこぎつけることができれば、重要なビジネス指標を監視することで、オペレーション上のリスクの予知や、問題発生から対応策を実施するまでの時間を大幅に削減することも可能になる。ただし、その利用は一筋縄ではいかないという。
「現在、多くの企業では部門単位にビジネスプロセスが最適化されている。だが、BIをビジネスプロセスの監視に活用するためには、全社最適なビジネスプロセスを新たに構築するとともに、そこで流れる経営情報がビジネスにどれほど影響を与えるのか見極めるため、KPI(Key Performance Indicator:業績評価指標)を基にBIで情報を分析できるよう、業務システムとBIとを連携させるといったはん雑な作業が求められる」(日高氏)
とはいえ、BAMの利用にまでこぎつけることができれば、重要なビジネス指標をリアルタイムに把握でき、意思決定を多面的に活用することが可能だ。その実現に向け日高氏が企業に設置を強く求めたのが、BICC(BI Compitency Center:高度な情報分析をサポートする専門組織)だ。
「BIやBAMの活用を推し進めるためには、ツールやアプリケーションのみならず、ビジネスや組織、さらにデータに対する深い知識が求められる。情報の活用スキルを高め、攻めの経営に生かすためには、知識の習得と分析ノウハウの蓄積を可能にするBICCが企業にとって欠かせない存在になるはずだ」(日高氏)
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授