2009年は“真っ暗闇”【新春特別企画】コミュニティーリーダーが占う、2009年大予測(2/2 ページ)

» 2009年01月06日 07時30分 公開
[藤田正美,ITmedia]
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成長を阻害する由々しき国内事情

 中国は、8%成長が至上命題だという。毎年新たに労働市場に参入してくる労働者、1000万とも2000万ともいわれる人々に職を与えるためには、それぐらいの経済成長がなければならないとされているからだ。しかし現実には、職がなくなってデモや暴動が起きているのだという。

 中国の輸出依存度は高い。GDPの30%以上が輸出という体質は、海外市場の変動に弱いということだ。しかも単に市場だけの問題ではない。いま世界の資金は「投資」ではなく「キャッシュ」に向かっている。ということは、中国での投資に流れていた海外の資金が引き揚げられているということにほかならない。そのため、頼みの地域開発にも急ブレーキがかかっているという。

 インドは中国に比べれば輸出依存度が低い。それでもGDPの5分の1以上が輸出である以上、影響は免れない。すでに繊維産業の零細企業がばたばたと廃業に追い込まれているという。それだけではない。耐久消費財の購入などへの銀行融資が厳しくなったため、そうした消費財の売れ行きが下がっている。自動車がその典型だ。

 もちろん外国資本によるインド国内への投資もストップするものが増えるだろう。しかもインドは、来年総選挙の年。現在の国民会議派中心の連立政権が負けることは必至、代わって政権の座につくのはインド人民党(BJP)とされるだけに、政治的な混乱、例えば自由化政策の見直しなどもあり得るかもしれない。そうなると外資は「カントリーリスク」が高くなったといって、インドを嫌う可能性もある。インドの成長力回復がそれによって阻害される可能性は小さくはない。

年末にようやくトンネルの終わりが見える?

 インドや中国の成長力が回復するためには、とりあえず米国の回復が一番だ。その米国は12月16日、とうとうゼロ金利政策に踏み切った。もっとも金利のほうは、市場を追認したような形なのだが、FOMC(公開市場委員会)の声明で注目されるのは、長期国債の買い取りである。極端な言い方をすれば、これで2009年1月20日に就任するオバマ大統領は、懐の心配をせずに財政資金を景気刺激に使うことができるからだ(カネがじゃぶじゃぶ市場に出回ればインフレも懸念されるが、現在はとにかくデフレに落ち込まないようにするしかない)。オバマ次期大統領が描いている財政支出の金額はGDPの4%とも5%とも言われており、とにかくアメリカが必死で経済を回復させようとしている気持ちはよく理解できる。

 それでも2009年は基本的に景気は真っ暗だと思う。2009年末ごろになって、トンネルのはるか向こうに明かりが見えるということになるのではないだろうか。それも米国の回復がまず先。日本が回復するのは米国が回復した後になるだろう。しばらくは個人も企業も身をすくめているしかない。


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