荒れ模様の日本、2008年はどこにいくのか?【年末年始特別企画】コミュニティーリーダーが占う、2008年大予測

政治・経済とも日本は少々荒れ模様となっている。福田内閣は、年金問題や防衛省の装備調達をめぐるスキャンダルでつまずいてしまった。サブプライム問題の傷はまだまだ深いというのが一般的な見方だ。そして、原油も懸念材料の1つだ。

» 2008年01月01日 08時00分 公開
[藤田正美,ITmedia]

 政治・経済とも日本は少々荒れ模様となっている。

 安倍首相が突然政権を放棄した後に誕生した福田内閣は、年金問題や防衛省の装備調達をめぐるスキャンダルでつまずいてしまった。支持率が急落している中で、給油法案を衆議院の3分の2で再可決したときに、果たして世論がどのように動くのか、不透明感が漂っている。

 福田内閣の任務は、給油新法を成立させることに加えて、総選挙で「大敗しない」態勢をつくることであった。与党で現有3分の2の議席が減ることは間違いないとしても、過半数を失うことだけは絶対に避けたい。それが自民党幹部の本音であるはずだ。

 もしも与党で過半数を割ったなら、民主党が第一党になるか第二党なのかによって大きく異なるが(民主党が単独で過半数を獲得すう可能性はほぼゼロだと思う)、大連立あるいは政界のリシャッフルということになる可能性が大きい。

 福田内閣が、いつ総選挙をせざるをえない状況に追い込まれるのか(逆に言うと追い込まれるまでは絶対に総選挙をしないということだ)が2008年の焦点である。

2008年経済のキーポイント

 経済の焦点は、1つはサブプライム問題、もう1つはエネルギーだ。

 サブプライム問題は、欧米の銀行は8兆円ほどの損失を計上しているが、まだまだ傷は深いというのが一般的な見方である。その理由はサブプライムで借りた債務者の利払いが2008年に入って増えてくることだ。延滞率が上がれば当然その債権を原資産とした証券が値下がりすることになり、金融機関の損失が増える。

 OECD(経済協力機構)はサブプライムの損失は世界で33兆円ほどに達するという見方をしているが、最悪で55兆円(5000億ドル)になるという見方もある(日本の金融機関がバブル崩壊後に計上した損失は50兆円を越えていた)。

 ただサブプライム問題は、アメリカ経済の先行きに疑問符をつけ、ドル相場を押し下げる圧力にもなっている。とりわけアメリカが住宅不振を背景に景気が悪化する可能性が強まっているが、以前とは違って、それがすぐ世界経済の悪化につながるわけではない。アメリカの消費が落ちても、アジアとりわけ中国やインドの消費が伸びているからである。

 このアメリカ依存の低下がドルに対する信認を低下させることにもつながっている。すでにドルとの固定相場を解消したり、外貨準備をドルだけでなく部分的にユーロに切り替えるなどの動きが活発だ。ドルの一極支配が崩れるのは確実だとしても、それがドル暴落という形で起こるのか、それとももっと穏やかな形でドルの役割が軽くなるのか、そして円はどのように動くのか。世界経済の先行きを占う上でも注目しておかなければなるまい。

 もう1つの懸念材料は原油だ。2007年は一時1バレル100ドルを越えるかと見られた原油相場は、やや落ち着いたものの、2008年も基本的に高い相場水準となる。中国やインドといった人口の多い国が高度成長を続けており、エネルギー需要も成長率を上回るペースで増えている。そのため、石油や石炭、天然ガスへの需要は基本的には右肩上がりだ。

 しかし石油生産は遠くない将来にピークを迎えるとか、すでにピークを過ぎたという説もあるほど、新しい油田の開発が進んでいない。生産が伸びず、消費が増えれば、相場が上がるのは自然なことだ。しかもサブプライムで荒れ模様の金融市場から巨額の投機資金が商品市場などに流れ込んでおり、原油も今や恰好の投資対象とみられているからなおさらである。

 日本国内では原油相場上昇を価格に転嫁できるかどうかで、来年の企業業績は決まる。その意味では、2008年はまた一段と企業格差が広がってくると言えるのかもしれない。

藤田正美氏が主催するエグゼクティブ・コミュニティー

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フリージャーナリストの藤田です。ニュースについてのコラムとイギリスのエコノミスト誌を中心とする興味深いニュースの抄訳などで、皆さんに問題提起をしていきたいと思っています。このコミュニティで政治や経済などについて活発な議論をしましょう。


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