請負型中心のシステムインテグレーターからの脱却を目指すべく、ビジネス領域の改革、拡大に力を注ぐNTTデータ。今後の事業展開において鍵を握るのが“3本の矢”だという。
NTTデータは1月29日、1988年の創立以来初となるプライベートイベント「NTTデータ イノベーションカンファレンス 2009」を開催した。オープニングの講演では同社の山下徹社長が登壇し、今後の経営戦略について「従来のシステム開発にとどまらず、上流コンサルティングと活用サポートにまで事業領域を広げ、総合的なサービスカンパニーの座を確立する」と意気込みを示した。
同社はシステム開発やネットワーク構築などを手掛けるシステムインテグレーター(SI)としての認知が一般的だ。例えば、IT専門誌「日経コンピュータ」が2008年に実施した企業向けの情報システム関連サービスと製品の顧客満足度を評価する調査によると、NTTデータは「メーカー」ではなく「情報サービス会社」に分類されている。それに対して山下氏は「わたし自身は、(NTTデータは)どちらにも当てはまる業態だと考えている」と話す。「当社の顧客企業に対する調査でも、SIよりも事業パートナーやITパートナーとしての認識が強いという結果が出てきている」と説明する。
とはいえ、SIが主力事業であることには変わりない。山下氏が問題視するのは、これまで請負型中心のSIとして歩んできた点である。「多様化する顧客の要望に対応するためには、請負型という従来のモデルから脱却し、自ら企画、提案していく必要がある」と山下氏は強調する。
現在でも「提案型中心のSI」として、ERP(統合基幹業務システム)導入のコンサルティングなどを手掛けているが、今後はさらにその色合いを強めていく。加えて、金融業務の自動化サービスや医薬品業界向けのデータ交換システムといった「サービス」、セキュリティ管理パッケージや次世代ATMシステムなどの「ソフトウェア」という“3本の矢”が今後の同社の事業を支える鍵となる。山下氏によると、この3軸の強化こそが企業の競争力を高める原動力だという。
具体的には、現在の売上高比率がサービスで20%(2008年度実績で約2000億円)、提案型SIで75%(同7500億円)、ソフトウェアで5%(同500億円)であるのに対し、近い将来にはそれぞれ30%、50%、20%に変えていく。
「事業バランスを考え、より効果的に3本の矢を強化し、顧客の変革を支援していく」(山下氏)
こうした主力事業の強化を急ぐとともに、顧客に業務変革やIT戦略を提案する上流工程のコンサルティングと、提案した内容を具現化するための活用サポートにまでビジネス範囲を広げる方針だ。これにより速く、安く、品質の高いサービスを提供することが可能になるという。
「企業変革という夢のある提案をし実現することで、より多くの顧客の信頼を得ることができるはずだ。グループ会社含め全社員のチームワークによって、SIを超える価値を実現したい」(山下氏)
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授