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» 2009年06月16日 12時47分 公開

日本流「チーム型マネジメント」:【第2回】避けるべき個人主体のトップダウン型マネジメント (2/2)

[岩下仁(Value Associates Inc),ITmedia]
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日本企業が目指すべきは参加型調和志向の組織

 意思決定の方法には、個人のトップダウン型意思決定とチームの合意形成による参加型意思決定がある。トップダウン型は、個人を主体とした実績評価を中心とし、戦略経営を促し、多くの欧米企業のグローバル化を支えてきた。マネジャーの役割とは、業務の調整や意思決定を行うことであり、デシジョンメーカー(Decision maker)である。

 一方、参加型意思決定は、チームを主とした人的経営を実施し、緩やかな罰則規定や家族的な風土を重視し、日本企業の成長を支えてきた。マネジャーの役割はファシリテーターであり、業務の調整や意思決定はスタッフに委ねられる。日本企業の課題とは、この参加型意思決定をいかにして制度化し世界で共有化できるかである。

 コミュニケーションの志向性には、組織内部の調和志向と外部の差別化志向がある。内部調和志向のコミュニケーションとは、一貫性ある組織内部の調和を生み出し維持することに力点を置く。内部の調和を大事にして効率的なオペレーションを行う日系自動車製造業が代表的だ。Hewlett-Packard(HP)やかつてのIBMGeneral Motors(GM)など一部の伝統的な欧米企業にも同様な志向性があった。

 外部差別化志向のコミュニケーションは、他社との差別化を行うことで競合優位性を獲得することに力点がある。常に組織外部のマーケット志向の判断を行い、新しいアイディアや新製品開発によるイノベーションのコミュニケーションになる。ITを中心とするサービス業に多く、現在のIBMやGoogle、P&G、Appleなどがこのタイプに当たる。

 製造業を中心とする日本企業が目指すべきは、右上に位置付けられる参加型調和志向のグローバルマネジメントである。行動規範として制度化し、かつ組織内部の業務や人の調和を標榜することにほかならない。避けるべきは個人が主体で明確な命令と指揮系統を持つトップダウン型差別化志向のグローバルマネジメントである。当連載では、参加型調和志向のマネジメントをチーム型マネジメントとし、トップダウン型差別化志向を個人型マネジメントとする。

 次回は、経営グローバル化プロセスとグローバルマネジメントの関係について述べる。


著者プロフィール

岩下仁(いわした ひとし)

バリューアソシエイツインク Value Associates Inc代表。戦略と人のグローバル化を支援する経営コンサルティングファーム。代表は、スペインIE Business School MBA取得、トリリンガルなビジネスコンサルタント。過去に大手コンサルティング会社勤務し戦略・業務案件に従事。専門領域は、海外マネジメント全般(異文化・組織コミュニケーション、組織改革、人材育成)とマーケティング全般(グローバル事業・マーケティング戦略立案、事業監査、企業価値評価、市場競合調査分析)。

現在ITmedia オルタナティブブログで“グローバルインサイト”を執筆中。


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