「笑い」で免疫力を鍛えよう ―免疫機能の評価―エグゼクティブのためのアンチエイジング(2/2 ページ)

» 2010年02月12日 08時00分 公開
[米井嘉一(同志社大学),ITmedia]
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免疫力強化には笑いが効く

 アンチエイジングドックでは筋年齢、血管年齢、神経年齢、ホルモン年齢、骨年齢といった老化度を評価すると同時に、免疫機能、酸化ストレス、心身ストレス、生活習慣、代謝といった老化を促進させる危険因子も評価します。しかし免疫機能の評価法はいくつかあるものの、確実に定まったものがないのが実情で医学的な裏付けデータが一番乏しい項目です。ドックでは、免疫機能を100点満点のスコアとして評価しています。いくつになっても80点以上を保ちたいものです。

表2 免疫力をアップさせる方法

  • 免疫力強化のホルモンを増やす
  • ストレス(ストレスホルモン)を避ける
  • 腸内環境を整える(腸管免疫のアップ)
  • ごきげんに生きて免疫力をアップする
  • 過労を避ける
  • 睡眠時間をたっぷりとる
  • 栄養不良を改善する
  • 大量飲酒を避ける


 年間を通じてほとんど病気をしない人なら免疫機能は80-90点以上あるでしょう。普段から風邪を引きやすい人、風邪をこじらせやすい人は免疫機能が70点以下に落ちている可能性があり要注意です。該当する人は免疫力をアップする生活を心掛けましょう(表2)

 加齢とともに低下するホルモンの中に、免疫システムに影響を与えるものがあります。DHEAやメラトニンは免疫力の強化に働くので、これらのホルモン分泌を刺激するような生活療法を実践しましょう。DHEA分泌を促すコツは、筋肉量の確保、冒険心、ときめき、フリーラジカルからの防御、脂質制限です。メラトニン分泌を促すコツは、朝起床時に明るい光を浴びる、適度な運動、長時間の昼寝をしない、カフェイン制限、アルコールの過剰摂取を控える、寝る前にリラックスして部屋を真っ暗にして寝ることです(ホルモン年齢の記事を参照)。

 ストレスは神経系ばかりでなく免疫系にも作用します。ストレスホルモンのコルチゾルは、リンパ球を減少させるなど免疫機能を弱める作用があります。わたしたちの調査では、エグゼクティブの方々には過分なストレス負荷が掛かっていることが分かりました。ストレス過多の人は是非とも対策を練りましょう。ストレスがたまった時は、休息と睡眠でダメージから回復させることが重要です。そして翌日に新たなストレスに立ち向かうことです。

 腸管免疫をアップするためには、便秘予防、野菜や海藻など食物繊維の摂取(目標1日25g)をお勧めします。

 笑いは百薬の長です。ごきげんに生きて、免疫力をアップしましょう。「お笑い」がリンパ球の活性を上げるなどの研究成果があります。過労や栄養不良、大量飲酒は免疫機能を低下させるので避けてください。


著者プロフィール

米井嘉一(よねい よしかず)

同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンター教授

1958年東京生まれ。1986年に慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程を修了後、UCLAに留学。1989年に帰国後、日本鋼管病院内科 人間ドック脳ドック室部長を経て、2005年に同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授就任。現在は同志社大学生命医科学部の教授を兼任し研究に尽力するほか、日本抗加齢医学会の国際担当理事として、アジア、ヨーロッパ、アメリカなど各国の抗加齢医学会との交流に努める。主な著書に「抗加齢医学入門」(慶應義塾大学出版会)、「アンチエイジングのすすめ」(新潮社)など。


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