それではどうやって打ち勝つか。まずはストレスについて知ることです。実は日常生活の1つ1つがストレスを刺激することになっています。例えば、朝の食事(仕度も食べること自体も)、通勤、通学、仕事、人間関係、友人関係、家族関係、フィットネスクラブ、夜の接待などすべての行為がストレスです。そして夜になって「疲れ」を感じたとしたら、それはストレスによるダメージです。
まずは休息と睡眠でダメージから回復させること。翌日、新たなストレスに立ち向かうことが大切です。ストレス対策には「趣味や芸術、運動が良い」とよく言いますが、あくまでも休養が先です。体力が十分回復してからでないと逆効果、かえってストレスになることがあります。
ストレス負荷が大きくなって睡眠の質が低下、ダメージからの回復が遅れるという悪循環にならにようにしましょう。「心配ごとでよく眠れない」という経験は誰にでもあるもの。あまりくよくよせずに「果報は寝て待て」です。「くよくよしたらまず歩け」とも指導しています。ストレスによるダメージをやわらげ、快眠を得るため、寝る前に家庭用ドライサウナでリラックス。これはエグゼクティブならではの方法です。
ストレスの原因が明らかならば、できるだけ取り除いてください。原因から逃げてください。例えば痛みは大きなストレス。頭痛や関節痛、歯の痛みはきちんと治療しましょう。
ストレスは仕事に大きく影響します。精神的に健常な状態なら、喜怒哀楽といった感情が豊かに流れ、夢や想像力、企画力にあふれ、調和が取れています。ストレスはこの感情の流れを乱し、1つの感情を極端に強めたり弱めたりします。良い発想など全く浮かばず、判断ミスが起こりがちになります。
また、ストレスは「悲しみ」や「恐れ」の感情を強め「喜び」や「想像力」を消してしまいます。このような状態で「喜べ」と言われても急には喜べませんし、「夢を持て」と言っても無理な話です。「怒り」を忘れた人には「怒ること」が必要です。「悲しみ」を無理に抑えこんだ人は涙を流して泣くことが必要ですが、エグゼクティブとして表立っては難しいかもしれませんので、陰でこっそり行うのも1つの方法です。時には、いやな上司を思い浮かべイメージの中で怒ってみること、友人や同僚に溜まった感情を吐き出すなど、こうして感情のバランスを保っていくと良いでしょう。
ストレスは抑うつ状態を引き起こす大きな原因です。「まじめで仕事熱心」「完全主義で几帳面」「仕事を人任せにできない」「融通がきかない」「人にどう見られているか気になる」といった人は注意してください。
米井嘉一(よねい よしかず)
同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンター教授
1958年東京生まれ。1986年に慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程を修了後、UCLAに留学。1989年に帰国後、日本鋼管病院内科 人間ドック脳ドック室部長を経て、2005年に同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授就任。現在は同志社大学生命医科学部の教授を兼任し研究に尽力するほか、日本抗加齢医学会の国際担当理事として、アジア、ヨーロッパ、アメリカなど各国の抗加齢医学会との交流に努める。主な著書に「抗加齢医学入門」(慶應義塾大学出版会)、「アンチエイジングのすすめ」(新潮社)など。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
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明治学院大学 経済学部准教授