ビジネスにおいて交渉力とはなくてならないスキルの一つであり、交渉術について書かれている書籍は数々あります。ただし、力任せに自分の要求を相手に求めるだけであっても、またその逆でも互いに納得した結果を求めることはできません。本書では交渉というものを論理的に分解し、その構造がどのようになっているか、そしてそれをどのように使っていくかがより良い交渉結果を生み出すことができるかについて書かれています。
『7つの基本概念は、すべての交渉に当てはめられ、さらに、必要に合わせて、適応させていきます。
1.すべての交渉には構造がある
複雑な交渉でさえ、主となる構成要素や相互作用のパターンに細分化することができます。すなわち、より複雑な交渉であっても、一連の簡単な交渉として分析できるのです。
2.交渉の構造は戦略を生み出す
どの交渉にも1つのアプローチばかりを用いるのではなく、交渉の状況をしっかりと考察した上で、一番ふさわしいスタイルを用いることが大切です。論争の解決、取引、そして、複数グループによる交渉の際には、おのおのに合わせた交渉が必要とされています。
3.独自の構造を作り出す
交渉戦略に影響を及ぼす構造は修正する必要があります。例えば、交渉相手や交渉の議題に影響する場合です。交渉が始まる前であっても後であっても、いかに戦略的に交渉を進めるかどうかが、結果を左右していきます。
4.交渉力は、交渉過程を自分でコントロールできてこそ身に付く
交渉の議題、交渉の流れや情報提供のタイミング、また交渉に関与する人など、交渉において大切な事項に関しては、早めに決めておきましょう。焦点を当てる問題の順番でさえも、交渉の結果に違いを生じさせることがあります。
5.交渉が滞りなく進む道を切り開く
さまざまなタイプの交渉において、それぞれの典型的な交渉の流れを知っておくことも大切です。例えば、白熱した論争の後には、たいてい中休みが続き、そして、また、激しい論争を繰り広げます。このようなパターンを認識し、新しい解決策や妥協案をいつ提示するべきかを知っておくことによって、行き詰まりを克服することができます。
6.状況からたくさんのことを学ぶ
交渉相手が求めているもの、必要としているものを明確にし、交渉しながら相手の情報を収集し続けましょう。そして、交渉相手と今後連絡を取り合えるようなネットワークを作っておくことをお勧めします。つながりを持っておくことで、危機を回避したり、チャンスに恵まれたり、お互いに助け合うことができます。
7.リーダーとなる
「受け身の中間人」ではあってはいけません。常に「中心から」引っ張っていくような、また、人々の見解に影響を与えるような人材であることを意識しておきましょう。そして、交渉の結果を左右していく立場に自分自身を置いておくことが大切です』
交渉とは人との考えの駆け引きであるからこそ、それがどのような構造で成り立っているのかを把握して、その流れを独自にコントロールしていくことが大切であり、そのためには上記の7つの概念が存在することを普段から意識する必要があります。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授