図2は、CIOに対する企業トップからの期待の方向性の変移を表しています。左下は、従来のCIO/IT部門への期待と言えるでしょう。ITをあくまで技術的な側面で捉え、バックオフィス方向への効果を期待されていました。わたしは、ほとんどの日本企業のIT部門が、この左下に位置し、そして変化の予兆を捉えられないでいると確信しています。しかし、欧米では、既に半数以上の企業が右上の方に期待事項が移動しています。テクノロジ中心からビジネスそのものへのフォーカスに変化し、バックオフィス系の機械化・合理化から、ビジネスを成長させる方向への変化です。どう考えても、従前のIT要員・IT組織で良いとは思えません。
「わたしは、わたしの配下のIT組織が、図2の左下にあることを肯定します。しかし、右上に、今すぐに行かなければならないとは思えないし、左下の業務が今すぐに無くなる訳ではないことも知っています。」このコラムを読んでいる多くのCIO/ITエグゼクティブがこう答えることも、わたしは知っています。わたしの見解はこうです。
「あなたは、会社のトップから、図2の右上方向にITへの期待が変化することを知っているのに、言い訳ばかり考えて、少しも変化させようとしない。残念ながら、それではリーダー失格と言わざるを得ない。なぜならば、組織は、突然に変化しない。将来の方向性が見えているならば、最初は少しでも良いから、何らかの変化をリーダーであるあなたが起すべきなのです。」
来る3月3日に、弊ガートナー エグゼクティブ・プログラムでは、本サーベイに協力いただいた日本企業のCIO75名を招待して、グローバル対日本のサーベイ結果を元に分析して得られた、「今、日本企業のCIOにGartnerからの提言」を、いち早くお話させていただきます。また、次回のGartner Columnでは、その内容に触れたいと思います。
2006年にガートナー ジャパン入社。それ以前は企業のシステム企画部門で情報システム戦略の企画立案、予算策定、プロジェクト・マネジメントを担当。大規模なシステム投資に端を発する業務改革プロジェクトにマネジメントの一員として参画した。ガートナーでは、CIO向けのメンバーシップ事業「エグゼクティブ・プログラム(EXP)」の日本の責任者を務める。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
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明治学院大学 経済学部准教授