個人または組織に「天職発想」を身に付けさせることで、数々の成功を収めている元経団連事務総長の三好正也氏に、天職発想とは何かについて話をうかがった。
世界一のベストセラー「聖書」には経営に役立つ原理・原則が書いてある。企業経営に生かして成功した多くの経営者・著名人がいる。経営マネジメントで有名なドラッカーも、聖書から経営に関する知恵を説いている。この連載では、聖書的な原理・原則を活用して成功した経営者・著名人へのインタビューから、ビジネスパーソンに役立つ情報を提供する。
「天から与えられた仕事」、つまり神から与えられた仕事を天職といいます。聖書では、天職もしくは天職的な仕事をする個人や組織は大きく成功するという原則があります。
個人または組織に“天職発想”を身に付けさせることで、数々の成功を収めている元経団連事務総長の三好正也氏に、天職発想とは何かについて話を聞いた。
松島:今回は、「仕事が楽しくてしかたがない」という三好さんに、天職について話を伺います。三好さんが経団連事務総長の時から長らく大変お世話になっていますが、仕事を楽しむということに対して、まさに地を行く方であり、天職もしくは天職的なお仕事をされてきた方だと思っています。そこで、仕事が天職だと社員が思えるような組織や、その組織の目的や強みを発揮する組織作りのポイントはありますか。
三好:組織には2つの考え方があると思っています。簡単に言うと、金銭など利益追従を目的に形成された「ゲゼルシャフト」(利益共同体)と、主に社会貢献を目的に形成された「ゲマインシャフト」(運命共同体)です。この2軸を持ち合わせた組織を作るべきです。
J-WAVEの社長に就任(1997年)した際は、「利益を出せば、それが税金や消費という形で社会に還元される。我々の仕事の目的は社会を良くすることである」ということを、J−WAVEの社員には伝えていました。
松島:なぜ、その2軸が必要だと思ったのでしょうか。
三好:J-WAVE社長に就任した1997年当時の日本企業は、あまりにも「ゲゼルシャフト」(利益共同体)的な経営をしていました。成果主義の名のもとに、利益を出す事自体が目的となっていましたので、「寝食問わず働くことで利益を出しても、結局何のためになるのかが分からない」という、仕事に対して目的意識を持てないビジネスパーソンが数多くいたからです。
松島:「ゲゼルシャフト」(利益共同体)と「ゲマインシャフト」(運命共同体)の2軸を、J−WAVEに導入した結果、社員の仕事に対する取り組みに変化はありましたか。また、自分の仕事を天職、もしくは天職的だと考える社員は現れたのでしょうか。
三好:人が変わったように熱心に仕事をする社員が出てきましたね。理由を聞いたら、「我々の仕事によって社会が良くなるから」だと言っていました。「社会のために必要なことをしたい」というのが、人間の本能なのかもしれません。また、「仕事が楽しくてしょうがない」との社員の話も聞きましたので、結果的に自分の仕事が天職だと思えた社員も、数多くいたと思います。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授