ビリオン・ダラー・カンパニーの仲間入りをほぼ確かにしたRed HatのホワイトハーストCEOは、「クラウドの多くはオープンソースによって稼働している。5年以内に30億ドルの売上達成も難しくはない」と早くも次の目標を掲げる。
先週、「レッドハットフォーラム 2011」が都内のホテルで行われ、300人を超える大手企業顧客や有力パートナーらが集まり、いよいよミッションクリティカルな領域でも広範に使われ始めたオープンソースの実力を裏付けた。
Linuxをはじめとするオープンソースには、2008年のリーマン・ブラザーズ破綻に端を発した世界的な金融危機や景気後退が追い風となった。また、新しい企業コンピューティングの姿として期待されるクラウドも多くがオープンソースによって構築されている。
オープンソースのパワーを活用するRed Hatもそうした恩恵を受け、この5年間、年率20〜30%で成長を遂げてきた。2011年度(2010年3月から2011年2月)の売り上げは9億930万ドルに達し、ビリオン・ダラー・カンパニーの仲間入りも目前だ。2008年1月、新社長兼CEOとして売り上げ10億ドル突破を託されたジム・ホワイトハースト氏は、「クラウドの多くはオープンソースによって稼働している。5年以内に30億ドルの売上達成も難しくはない」と早くも次の目標を掲げる。
ホワイトハーストCEOの経歴は異色だ。ボストンコンサルティングを経て2002年にDelta Air Linesに入社、COO(最高業務責任者)まで登りつめていた。
「Deltaは確かに大手航空会社だったが、SouthwestやJetBlueのような新しいモデルの挑戦を受けて守勢に回っていた。わたし自身のキャリアとしてもこのまま守りに入っていいのか、疑問に思っていた。オープンソースにはIT業界を根底から変える力がある。そこに魅力を感じた」とホワイトハースト氏は振り返る。
今年20周年を祝ったLinuxは、x86プロセッサの進化に上手く乗ったといえる。多くのプロセッサが姿を消していった中、x86は高性能化を続け、さまざまなハードウェアベンダーがこれを採用、工夫をこらしてミッションクリティカルな用途にも提供してきた。こうした企業向けのさまざまなハードウェアに対してそもそも1社のOSベンダーがサポートすることは難しい。実際、それができたのはMicrosoftとLinuxのオープンソースコミュニティーだけだった。
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明治学院大学 経済学部准教授