1、計画を立案した段階で満足してしまい、「実行」がおろそかになってしまう。または、計画の実行・進捗が効果的な方法でフォローされない
2、実行および結果についての責任者が不在もしくはあいまいになってしまう。
3、いったん決めた計画の内容にとらわれすぎてしまい、「成果を上げる」という意識や視点を忘れてしまいがちになる。
4、「実行フェーズ」を自己流で行ってしまうことで、活動がマンネリ化してしまい、成果につながるまでに時間が掛かってしまう。
5、「いつまでに、誰が、何をするのか」という点についてのチェックが甘くなり、PDCAサイクルの実践が徹底されない。
第1に、戦略を作るのはとても骨の折れる作業で、そのために大きな労力が割かれる。そのためか、戦略がいったんできると、それで満足してしまい、終わった気分になる人も多い。一方で、戦略を実行するには進捗をフォローする必要があるが、それがおろそかになってしまい、実行されないのである。
第2に、戦略を立てたものの、それを実行したり、実行して結果を出すために誰が責任を取るのか、責任者が不在だったりあいまいだったりする。責任を取る人がいないので、戦略がそのまま放置されるのである。
第3に、いったん決めた戦略の「計画」にとらわれ、「成果を上げる」という意識が薄れてしまうのである。「計画」したとおりにやることが大切だと考え、修正が必要でも、当初の計画に沿って行い、成果が上がらなくなってしまう。「計画」は状況に応じて修正していく必要がある。
第4に、実行の段階で、上司が自己流で進めてしまい、なんとなく活動が行われ、マンネリ化し、成果が出るまでに時間がかかってしまうということである。最初はやる気に燃えていた部下たちも、全然成果が出ないので、徐々にやる気を失い、モチベーションが下がるのである。
第5に、「いつまでに、誰が、何をするのか」ということをしっかりとチェックせず、PDCA(plan、do、check、act)サイクルの実践が徹底されていない。結果として、最初は実行してみるものの何が良かったか悪かったかがチェックされず、そのままやりっぱなしの状況になるのである。
マネジメントやリーダーシップの目的は、成果を上げることである。しかし、ドラッカーは次のように指摘している。
圧倒的に多くの人たちが、下に向けて焦点を合わせる。成果ではなく、努力することばかりを考える。組織や上司が自分に対して「負っている」ことや、彼らが自分のためにやるべきことを気にかける。そして、自らが「持つべき」権限を何よりも意識する。その結果、成果を上げられないでいる。
リーダーやマネジメント層はこのことを肝に銘じるべきだと思う。ドラッカーは「仕事は人を育てる最高の道具」ともいっている。人は仕事を通して成長し、生きがいを感じるのである。そのためには、戦略を確実に実行し、成果を上げる組織にならなければいけない。
次回からは戦略を実行する具体的なステップを話したい。
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授