企業にとって戦略が重要なのはもっともだが、その戦略を実行し求めた結果を得ることがさらに重要だということを忘れていないだろうか。
突然であるが、アメリカで最も読まれている本が何か知っているだろうか。聖書である。それでは、2番目に読まれている本は何か知っているだろうか。ダイエットの本である。多くのアメリカ人がダイエットをしたいと考えていて、その関連の本をたくさん読んでいる。しかし、現実はどうだろうか。アメリカ人は肥満の人が多く、ある統計では30%以上が肥満といわれている。
なぜこのような事態になるのだろうか。当たり前だが、本で読んだことを実践できていないからである。
企業にとって「戦略」がとても大切だといわれて久しい。「戦略」を立てる専門家が多く存在し、素晴らしい戦略を立てられるようにもなっている。しかし、どんなに素晴らしい戦略を立てても、それを実行しなければ意味がない。実行しなければ成果は上がらないのである。
今の職場では、自分が汗することには一生懸命取り組むが、それが成果に結びついていない人が多いのではないかと感じる。戦略を理解して、着実に実行し、成果を残すこと、それが本当に重要になっているとわたしは思っている。
「戦略が確実に実行されて、業績が上がる組織の動かし方」を7回にわたって以下の流れで話していきたいと考えている。
・第1回 戦略は実行しないと意味がない
・第2回 戦略を実行する第1ステップ――話を聞く
・第3回 戦略を実行する第2ステップ――組織の成功循環モデルを知り、リーダーシップを強化する
・第4回 戦略を実行する第3ステップ――組織の人材を分析する
・第5回 戦略を実行する第4ステップ――ミッションを浸透させる
・第6回 戦略を実行する第5ステップ――タクティックミーティングとアクションミーティング
・第7回 戦略を実行してイノベーションを起こす
戦略が確実に実行されて、業績が上がる組織にするにはどうしたらいいか。
わたしはビジネスコーチングを広めるべく研修やセミナーを開催したり、経営層やエグゼクティブの方のコーチングを行っている。ビジネスコーチングは「実行を支援すること」だと考えており、日々お客様の実行を支援している。
戦略が確実に実行されて、業績が上がる組織をつくる方法について事例を交えながら分かりやすく解説したいと考えている。
病院内で何かしらの病気に感染する人が多いということを聞く。この「院内感染」は防ぐことができるだろうか。完全に防ぐことは難しいかもしれないが、ちょっとした努力で感染の確率は下げられるといわれている。
それは、「手を洗うこと」を徹底するのである。とても単純に聞こえるが、これをできる人が実は少ないのである。
看護師が医師に「手を洗いましたか?」と質問することは少ない。医師はプライドが高く、それほど単純な質問をされたくない。医師のエゴである。「やったかやらないか」、「手を洗ったか洗わなかったか」、それを確認するだけなのに、実行されない。
仕事では複雑だったり、むずかしいことをやらされることが多いが、実は案外やるべき肝心なことが実行されていない現状があるのではないかと感じている。
それでは、戦略が実行されないのはなぜだろうか。次の5つの理由があると考えている。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授