人生で60歳代は、野球の試合でいえば9回の裏です。
人生で60歳代は、野球の試合でいえば9回の裏です。味方が大量得点をしていて、自分もヒットを打って貢献しているなら、早く無事に終えて早く次の試合の準備をしたい。逆に、さんざん負けていて、自分も三振にエラーまでしているなら、次の試合があるかどうか、あっても自分がその試合に出られるか分からない。前途不安です。
地位があり、お金に恵まれているなら勝ち試合です。その場合でも70歳代以降は別な試合ですから、その準備をしっかりしておく必要があります。前の試合にいくら貢献しても、次の試合では最初からやり直しですから何が起こるか分からない。人生ではお金、健康、仕事、家庭、仲間が、その順番で大切で、どれが欠けても幸せになるのは難しい。そこで、勝ち試合なら、この5つをしっかりため込んでおくことです。
負け試合ならどうするか。50%は必ず負け試合ですから、負けるのも人生のうちで決して悲観することはありません。それが普通で、その役割をやればよいのです。ただ、負けた場合、先ほどの5つの要素のどれかが欠落します。その場合は、そのうちどれか1つだけ少なくとも維持して、失地回復をはかればよいです。確かに難しくはありますが、その1つでもつかめれば、幸せになる可能性はあります。
人生は本質的に、悲しい、みじめなものです。意志のない人生は無く、意志の本質は悩みです。それを幸せにできるのは、知識と経験と行動です。ソニーの創業者海軍軍人の盛田昭夫氏は敗戦直後の感想として、全てを失ってしまった、しかしまだ残されたものがある、それは日本国と自分と将来だ、と言っています。慰めは無用、少なくとも自分があれば60歳でもあと40年、夢と幸せは見るものでなくてつかむものだ、ということです。
わたしは今77歳です。60歳台の九回裏はやはり人生の一つの区切りで、試合は勝っていたが自分はベンチにいた、という感想です。次の試合では、どんなチームでもよいから試合に出してもらう、という意思が今日までの自分のエネルギーになっていると思います。60歳代の方、ぜひ今を大切に、将来を計画してください。
郡山史郎
株式会社CEAFOM代表取締役社長
1935年鹿児島県生まれ。一橋大学経済学部卒。1959年ソニー入社
スイス、米国に市場開拓マネジャーとして通算12年滞在。米国大企業に転じて、日本代表、北アジア担当、複数の関連会社の社長を歴任。1981年にソニーに復帰し、取締役情報機器事業本部長、常務取締役経営戦略本部長、資材本部長、一般地域統括本部長など歴任。2004年株式会社CEAFOM創業。
国際大学、早稲田大学、一橋大学、九州大学など講義、講師多数。外国人記者クラブ、証券取引監視委員会など講演多数。著書、「ソニーが挑んだ復讐戦」。
ソニー創業者、井深大、盛田昭夫、大賀典雄の直属幹部として永年経営に参加し、社長賞4回の実績あり。現在、多くの企業に対し、経営全般、グローバリゼーション、事業企画などのテーマでアドバイスを行い、また、役員、幹部社員の研修講演なども行っている。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授