腹式呼吸とは、息を吸い込むときにおなかをふくらませ、息を吐くときにおなかをへこませる呼吸方法。しかし永井氏は、「よく声を出すときは腹式呼吸でというが、わたし自身は一般的な腹式呼吸トレーニングしたことはない。なぜか。一般的な腹式呼吸をトレーニングするより、次の段階に行った方が手っ取り早いから」と言う。
次の段階とは、「マヨネーズ理論」である。マヨネーズはボトルを絞れば中身が出てくるが、声もスイッチを入れると出るようになる。つまりマヨネーズと同じ。声のスイッチとは、横隔膜のこと。おなかではなく、横隔膜を使えば声は出る。それでは横隔膜のスイッチは、どう入れればいいのだろうか。
横隔膜のスイッチを入れるためのトレーニングのひとつに「ドギーブレス」がある。読んで字のごとく、犬が舌を出して「ハア、ハア、ハア……」とやる、あの呼吸である。この呼吸をするときに動くのが横隔膜である。永井氏は、「横隔膜を鍛えるために、このドギーブレスを15秒続けるトレーニングを取り入れている」と話す。
横隔膜のスイッチを入れた。良い声を出すためにはさらに3つのトレーニングがある。1つ目が「プレッシャー・ブレス・トレーニング」である。その方法は、(1)腹に手をあて、(2)息を吸い、(3)口をふくらませながら息をはく。ポイントは、口の前のティッシュを5秒以上はためかせることである。
2つ目が「プレッシャー・ブレス・ボイストレーニング」である。方法は、プレッシャー・ブレス・トレーニングの(3)口をふくらませながら息をはく状態で、(4)口を開けずに「ウー」と発音する。最後にプレッシャー・ブレス・ビブラート」は、プレッシャー・ブレス・ボイストレーニングに、(5)ビブラートをかけるトレーニングである。
声のスイッチを入れるためのトレーニングはした。では、「滑舌」は必要だろうか。
「ボイストレーニングの一環として、早口言葉がついてくる。しかしわたし自身、早口言葉を練習したことがない。ビジネスパーソンにとって大事なことは"伝わること"。そのためには、(1)ゆっくりしゃべる、および(2)舌筋を鍛えることが重要」(永井氏)
舌筋を鍛えるためのトレーニングとしては、(1)口を閉じる、(2)舌を下唇と舌歯茎の間に差し込む、(3)舌の先に力を入れて右から左、左から右に5秒ずつかけて往復させる、(4)上唇と上歯茎の間に舌を差し込む、(5)舌の先に力を入れて右から左、左から右に5秒ずつかけて往復させる、(6)それぞれを3往復行う。
しかし永井氏は、「ただ声が良いだけでは足りない」と言う。必要なのは「低音」である。
「スピーチがうまい人は低音で話す。そこで彼らを"低音族"と呼んでいる。低音族は、説得力があり、信頼され、知的でエレガント、落ち着きがあるように見える、そしてリーダーシップを感じさせる」(永井氏)
最後のポイントとして、ビジネス、コミュニケーション、ボランティア、プライベートなど、シーンによって声を使い分けることが重要。永井氏は、「特に、にっこり笑って話をすると声が明るくなる。良い声を使い分けることで、ダメ男もイケメンに変身できる。"良い声を使い分けて変身!"。これが本日、伝えたかったこと」と話し、講演を終えた。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授