多様化するニーズに合わせ、食品加工機械が進化を続けている。
多様化するニーズに合わせ、食品加工機械が進化を続けている。高齢化などを背景に、食材を1回の食事で使い切れるようにセットする「お一人さま」向け対応の機械が増え、「3Dプリント」を施すマシンも登場。食生活の広がりや海外需要の拡大を踏まえ、各メーカーは開発に知恵を絞っている。
食品包装機械などを手掛ける寺岡精工(東京都大田区)の「ノントレイ包装機」は、発泡トレイやラップを使わずに食肉や魚の切り身などを真空パックできるのが特長で、鮮度保持や作業コスト削減に効果があるという。ターゲットは餃子やハンバーグの具、味付け肉といった調理に手間を取らない食材を扱うスーパー。さらに1人分に個別包装した商品を展開するコンビニエンスストアやファミリーレストランにも攻勢を掛ける。
根菜の加工機を手がけるイナモク(愛知県西尾市)は、皮むきから分割までを1分でこなすリンゴ加工機を開発。計量機器のイシダ(京都市)は袋菓子や野菜を高速で個別包装する機械を投入し、用途や人数に応じた多様な商品の展開を狙う食品メーカーのニーズを取り込む。
新技術の導入にも貪欲だ。製菓機械のマスダック(埼玉県所沢市)が開発したマシンは業界初の「2Dプリント機」をうたう。チョコレートやトマトソースなどを独自技術で立体的にデコレーションするもので、量産化にも対応できるという。鈴茂器工(東京都練馬区)は、油揚げに空気を注入してコメを入れやすくする「いなり寿司ロボット」を開発。細巻きや太巻などを1時間で最大4000本作る「のり巻き成形機」も改良した。
日本食品機械工業会によると、2012年に食品機械の国内販売額は前年比2.1%増の4385億円だった一方、輸出額は8.6%増の325億円と3年連続で伸びており、各メーカーは海外市場の開拓を急いでいる。
前川製作所(東京都江東区)は、世界各地に顧客を持つ鶏もも肉の全自動抜骨機械を改良し、もも肉と脚部分をカットする機能を追加。鶏肉加工が盛んなブラジルやタイなどで展開する企業に拡販を図る構えだ。
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明治学院大学 経済学部准教授