どっちが相手のゴールかが分かっているのは11人の中でわずか4人。勝負に関心があるのはわずかに2人。そんな組織になっていないか。人を育て、組織を活性化させるためには?
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『7つの習慣 人格主義の回復』(キングベアー出版刊)は、すでに自己啓発やリーダーシップ論のクラシックまたはスタンダードとして国内のみならずグローバルで愛読・愛用されています。その『7つの習慣』に奥行と深さをもたらす「リーダーシップ」に関するもうひとつの洞察が、スティーブン・R・コヴィー博士著の『第8の習慣「効果」から「偉大」へ』です。
タイトルからすれば「7つの習慣」の次のステップという印象がありますが、昨年25周年をむかえた『7つの習慣 人格主義の回復』で提唱してきたリーダーシップ論のひとつの集大成として『第8の習慣「効果」から「偉大」へ』はまとめられており、そのキーワードは副題に含まれる「偉大」なリーダーシップを発揮するための、新たな提言となっています。
「第8の習慣」では「7つの習慣」同様、コヴィー博士は私たちのパラダイムに働きかけてきます。その第一のメッセージは、この大きな社会の変化が起きている中、相変わらずリーダーシップ・パラダイムは前時代的なままであり、それが個人においても組織においても「苦痛」の原因となっているというものです。
博士は、次の調査結果を紹介しながら、前時代的なパラダイムによってもたらされている現在の組織の問題を指摘しています。(米国フランクリン・コヴィー社とハリス・インタラクティブ社が共同で行った「xQ(実行指数)サーベイ」という主要産業に従事する米国内の社員23,000人を対象とした調査)
いかがでしょうか。「うちの会社もそんなものかもしれない」「会社組織はそういうものだ」と感じた方もいるかもしれません。
しかし、これがサッカーチームだとしたらどうでしょう。どっちが相手のゴールかが分かっているのは11人の中でわずか4人。勝負に関心があるのはわずかに2人。自分のポジションと役割が分かっているのも2人だけ。しかも11人中9人は敵よりも自分のチームメイトに対抗意識を持っていることになります。これでは、試合に勝つどころかチームとしての体をなしていません。
この調査結果は、私が全国の企業でコンサルティングを行いながら感じていることと一致します。どの企業もすばらしい技術、商品、人材を有しながら、組織のために働く多くの人たちが充実感を感じることなく、ストレスを感じながら仕事をしています。優秀な人たちが、自分の才能、情熱、知性をフルに発揮できずに、しかも自分で何か変化を起こすことができると思っていないとすれば、これは企業と働く人たち双方にとってWin-Winの関係とは程遠い状況です。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授