井上 お客さまからの要望に「No」といわないということを掲げていますが、容易なことではないように思います。お客さまと接する中で、心がけているポイントはありますか。
高山 大切なのは、旅行に行く真の目的をつかむことです。そうすれば、希望の飛行機やホテルが満席・満室のときでも、ただ「No」というのではなく、的確な代替案を示すことができます。目的を満たすことをゴールにすれば、あらゆる手段が考えられます。
旅のニーズは多様化しています。飛行機、ホテル、食事、観光という旅の4つの要素の中で、優先順位は一人ひとり異なります。誰と行くのか、学生なのか、社会人なのかによっても変わってくるでしょう。コンシェルジュには、お客さまのニーズを汲み取る力が求められます。
井上 旅工房が主催しているイベントについても、お客さまから好評を得ているそうですね。
高山 旅を切り口に、いろいろなテーマで「旅会」というイベントを主催しています。ゲストを呼んで講演をお願いしたり、旅先のテーマにそったビールやお菓子を用意するなど、参加者に楽しんでもらえるよう企画をしています。最近では、トルコをテーマに開催しました。また女性向けの情報を発信しているメディアとタイアップして、「女子力アップの旅」というテーマでイベントを主催したこともあります。写真が趣味の方も多いので、プロカメラマンを招いて、旅先で役立つ写真の撮り方をレクチャーしたこともありました。参加者に楽しんでもらい、旅行にさらに興味を持ってもらえたらと思っています。
他にも、カフェやネイルサロンとコラボレーションした旅行カウンターを展開しています。ネイルアートをしているときに、ネイリストが旅の情報を話してくれるネイルサロンや、ハワイやイタリア、ニューヨークなどの食を楽しみながら、旅の相談ができるカフェを運営しています。これらの取り組みも、ひとりでも多くの人に旅行に興味を持ってほしいという思いから生まれたものです。旅工房ではこのような需要を喚起するプロモーションに旅行業界の中でも率先して取り組んでいます。
井上 お話をうかがい、旅行業界の常識を覆す取り組みによって、時代のニーズに応えているのだと感じました。旅行サービスを通して、お客さまにどのような価値を提供したいと考えていますか。
高山 お客さまにとって、人生の分岐点になるような旅を提供したいと思っています。人によって旅の目的は違います。それぞれに異なる思いを持って旅に出るのです。プロポーズをしようという方もいれば、病気のお父様を連れて最後の家族旅行をしたいという方もいます。そういったお客さまの旅への思いに向き合い、一人ひとりの感動につながる旅行を提案していきたいですね。
自社の効率やコストよりもお客さまに喜んでもらうことを第一に考える。そういった理想を掲げる会社は多くとも、実現できている会社は少ない。高山社長からは、ご自身が社長に就任してからもなお、純粋に旅を楽しみたいというユーザー目線を肌で感じました。まずは、商品やサービスを提供する側のわれわれがワクワクしているか? そういった無邪気さがビジネスの根幹にある会社は、やはり人を魅了できるということが深く理解できた時間でした。
井上敬一
ブランディングコミュニケーションデザイナー
株式会社FiBlink代表取締役
兵庫県尼崎市出身。立命館大学中退後、ホスト業界に飛び込み1カ月目から5年間連続ナンバーワンをキープし続ける。当時、関西最高記録となる1日1600万円の売り上げを達成。業界の革命児として、関西最大規模のホストクラブグループの経営業を経て、現在は実業家として企業、個人のブランディングやアパレル、サムライスーツなどのプロデュースを手掛ける他、人に好かれるコミュニケーションを伝える研修・講演を展開している。また、WEBセミナー「プレジデントキャンパス」により、中小企業経営者の学びの場をもっと身近なものにして日本経済を牽引する役割を目指す。
圧倒的な実績に裏付けられたコミュニケーションスキルをわかりやすく説く講演は、多くの企業・団体から支持を受けている。これまで数多くのメディアに取り上げられ、独自の経営哲学で若いスタッフを体当たりで指導する姿はフジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』で8年にわたり密着取材され、シリーズ第6弾まで放映されている。
主な著書に、「ゴールデンハート」(フジテレビ出版)、「人に好かれる方法」(エイチエス株式会社)などがある。
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【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授