「WABOSI SUMMIT 2017」で「ブルー・オーシャン・アントレプレナーシップ」および「食と医療のブルー・オーシャン戦略」をテーマとした、2つのパネルディスカッションが開催された。
早稲田ブルー・オーシャン戦略研究所(Waseda Blue Ocean Strategy Institute:WABOSI)が3月10日に開催した、日本発ブルー・オーシャン戦略の最前線を紹介するWABOSI創設記念シンポジウム「WABOSI SUMMIT 2017」の第2部では、ブルー・オーシャン戦略を実践するユーザー企業6社による2つのパネルディスカッションが開催された。
パネル1では、ジェイアイエヌ 代表取締役社長の田中仁氏、夢の街創造委員会 代表取締役社長の中村利江氏、リクルートマーケティングパートナーズ 代表取締役社長の山口文洋氏の3人をパネラーとし、早稲田大学大学院 経営管理研究科 准教授の入山章栄氏をモデレーターとしてディスカッションが行われた。
ジェイアイエヌは、メガネ・アイウエアブランドである「JINS」を国内約390店舗、中国約100店舗、台湾12店舗、米国4店舗で展開している。また夢の街創造委員会は、全国約1万4千店舗を有する宅配ポータルサイト「出前館」を運営。リクルートマーケティングパートナーズは、約42万人が利用する小中高・社会人向け学習支援オンラインサービス「スタディサプリ」を展開している。
パネルディスカッションのテーマについて入山氏は、「"ブルー・オーシャン・アントレプレナーシップ"とは、ブルー・オーシャン戦略的な考え方に基づいて、新しい、革新的なビジネスを切り開く企業家精神を意味している。今回、その中でも先進的なサービスを展開している3社とブルー・オーシャン戦略について考えてみたい」と始めた。
田中氏は、「ブルー・オーシャンは、狙ってできるものではない。JINSの設立時、眼鏡販売だけではレッド・オーシャンになるので、雑貨販売と組み合わせればブルー・オーシャンだと勝手に思い込み大失敗した。競合を見るのではなく、常にお客さまを見て、それに基づく会社のビジョンを明確にすることでブルー・オーシャンが生まれた」と語る。
また中村氏は、次のように話す。「飲食のマーケティングの経験から、出前が伸びる、ネット販売が伸びるの"伸びる×伸びる"で、これはブルー・オーシャンだと感じ、3億円の赤字会社を引き受けた。ただ誰もやってない市場なので、理解してもらうのに時間がかかったが、お客さまのためにあきらめなかったことでブルー・オーシャンが生まれた」
山口氏は、「塾などの既存の教育サービスを見なかったことが成功のカギだと思う。スタディサプリを立ち上げるときに、経営層から売り上げや利益ではなく、本当に必要とされる教育サービスにこだわれと言われた。やってきたことを振り返るとブルー・オーシャン的で、非常に優れた理念であり、証明のためのツールであると感じた」と言う。
入山氏は、「3人の話を聞くと、ブルー・オーシャンはあくまでもツールで、ビジョンがひもづいていなければ機能しないという共通点がある。売り上げや利益だけを追いかけるとレッド・オーシャンで競争することになってしまう。一方、優れたビジョンがあれば何年たってもブルー・オーシャンを保つことができる」と話す。
最後にブルー・オーシャンを切り開くために大事なことを山口氏は「苦しいことがあってもやり抜く覚悟や勇気がすべて」、中村氏は「簡単なことで成功するより、難しいことで成功する方が人生は楽しい」、田中氏は「好きなことをやればいい。好きなことなら失敗しても次につながる」とパネルディスカッションを締めくくった。
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