魔法のグローバル化「外国人スタッフ」のうまい活用!ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

トレーニングにより、対応ミスや独自判断によるトラブルを防ぐことができる。

» 2017年08月24日 07時15分 公開
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『ビジネス英語魔法の切り返し』

 「外国人顔がないとだめでしょう!」とは、リクルート創業者の江副浩正さんからのアドバイスでした。現在のグローバル化がもたらす、ビッグチャンスを手にしようとしている皆さまにも、このアドバイスが有益なビジネスヒントであることを確信しています。

 2000年に、外国人プロフェッショナルに特化した不動産事業「短期滞在向けの家具付きサービスアパートメント」を江副さんと立ち上げ、18棟1200室で80%以上という平均稼働率を12年間も守るためには、「外国人顔」という外国人スタッフの活用が必須でした。グローバル化の中、人手不足を考えると日本のサービス業、製造業、漁業など、あらゆるビジネス現場で外国人スタッフをいかにうまく活用できるかが、事業存続そのものに関わると言っても過言ではありません。

 しかし、外国人を現場に置くことはハードルが高いと感じませんか? 大事な日本人の顧客をきちんと対応できるのか? 外国人の顧客の例外的な要望を勝手に了承してしまわないのか? 経営陣にとって、いろいろと不安になる材料があると思います。自分が外国人なのに、外国人サービスマンを採用するにあたって江副さんの強いプッシュがなければ、あまり勧めたくないのが当時の正直な気持ちでした。日本人経営者の戸惑いはよく理解できます。

 不動産ビジネスの経験を生かし、今でも講演で話すのは、日本人や日本企業は観光業において、「変わる必要はなく、あくまで説明力をあげる必要がある」のみです。慣れないうちの「説明」は厄介かもしれませんが、外国人スタッフにちょっとした説明をするだけで、どれだけのビジネスを獲得できるのかご存じですか? 実は半端な数ではありません。

 日本政府が掲げている、2020年までに達成したい訪日外国人観光客の人数は4000万人です。皆さまにとって貴重な新規潜在顧客となります。外国人スタッフを上手に活用することで、この新規顧客を獲得したいですよね。2005年から外国人のサービススタッフを配属した経験から、今後の皆さまの参考になるよう、以下のアドバイスと英文例をシェアします。新しい人材力で新規顧客を創造しましょう!

 我々が事業を始めてから5年がたった2005年ごろ、サービスアパートメントの数が800室程度になり、それぞれの物件エリアにサービスチームが在籍するようになりました。顧客は現在の観光客同様、日本語が一切できないため、日本人スタッフの現場対応は大変でした。

 日本人からしてみれば、ゴミを出すときのルール、原状回復の規則や近所迷惑といったあまりにも常識すぎることについて、外国人に伝わる説明ができません。相手が無意識に行動していることを、いきなり説明するというのはかなりの難題です。そして、外国人顧客も当たり前ですが、自国の清潔意識、遅刻や納期に対する時間感覚などの「常識」で生活しています。

 どんな人でもそうですが、海外に行っても自国の常識で行動します。例えば、海外のバスタブを日本の風呂のようにお湯をたっぷり入れます。お湯に漬かるとあふれてしまい、風呂場の排水能力を超えて水浸しになってしまい、ホテルスタッフから注意を受けたことはありませんか? 全く同様なことで、外国人顧客は悪気なく、日本の常識とは異なる行動をとることよく分かりました。

 上記の風呂の例ですと、海外のホテルが全て日本人用の大きな風呂のある部屋を用意する必要はないですよね。同様に、日本側も外国人顧客のためにそれぞれの国に合わせた生活環境を用意する必要も全くありません。何をするかというと、日本のやり方を言語化します。その説明に、外国人目線を必然的に持っている外国人スタッフが大きな力となります。

 サービスアパートメントの時もそうでしたが、日本人が説明するよりも同じ国ではなくても、外国人が外国人に説明したほうが納得してもらえることが分かりました。上記の風呂の例でもそうですが、ホテルに日本人スタッフがいれば、日本語で説明を受け、「お湯をたっぷりいれても問題ありませんが、排水のキャパオーバーにならないよう、お湯があふれないように気を付けてください」と言われたほうが何となく気持ちもいいものです。

 外国人もまったく同様です。日本の常識を理解している同じ外国人に、同じ目線で説明してもらったほうが納得します。また、日本人スタッフがワイキキのホテルに在籍していると日本人にとって行きやすい場所となり、日本人の友達にレコメンドできるのと同様です。日本の現場に外国人スタッフがいると、リピーターの獲得と紹介による新規顧客の誘致につながることにもなります。ソーシャルメディア上でのレコメンドも期待でき、さらなる集客を実現する付加価値もあります。ナイス! といえるサイクルですね。

 でもストップ! 当たり前すぎて、改めて言う必要がないのかもしれませんが、現場に外国人スタッフを配属する前に、必ず本人たちが日本の常識、会社のサービス理念、おきてを理解しているか、よくよくよくトレーニングしたほうがいいのです! 「なんでも分かります!大丈夫」と言われても、クレームを受けた時や例外的なことを頼まれたら、外国人のいいところでもありますが、独自で判断することがよくあるからです。覚悟してください!

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