最高のチームに変わる「仕組み」のつくり方ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

部下が自発的に望ましい行動を繰り返し、成果を引き出すようになるには?

» 2018年03月08日 07時10分 公開
[石田 淳ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。


「認知のゆがみ」が会社を滅ぼす

『最高のチームに変わる「仕組み」のつくり方 行動科学的リーダーシップ』

 「普通に生活できれば別にいい」

 「問題なく仕事をやれていればいい」

 昨今のビジネスパーソンは、このように考えています。

 市場が拡大を続けていたかつての日本では、誰もが働けば働くほどお金を稼ぐことができました。しかし、現代社会は違います。「がんばって会社にしがみついていたところで、成功はたかが知れている」。特に、そんな空気感の中で育ってきた若い世代は、「がんばって、どうなるの?」と感じています。

 組織のリーダー、マネジャーが何よりも肝に銘じておかなければならないのは、まずこの「認知のゆがみ」です。

 それでは、多くの人は何を求めているのでしょうか?

 一番は「時間」です。「遅くまで会社に残って成果を挙げるよりも、早く帰ってゲームをしたい」。冗談のようですが、現場の声を聞いてみると、自分の時間を第一に考えているのです。

 なおかつ、日本政府が掲げる「働き方改革」もあり、「残業ゼロ」「非正規労働者と正社員の格差是正」の波が押し寄せてきています。

 私は現在、企業向けに人の行動を科学的に研究した「行動分析学」を基にした「行動科学マネジメント」のコンサルティング会社や小、中高生向けの教育関係の会社など、3つの会社を経営しています。そして、全ての会社で残業ゼロを実現させています。

 なぜ、私たちが残業ゼロに取り組んでいるのかというと、「そうしなければ、会社が存続できない」と、はっきりと分かっているからです。それはなぜなのか? そうしなければ、働き手がすぐに辞めてしまうからです。

 これは、全ての企業が直面している極めて危機的な問題です。

 売り上げや業績を落とさずに残業ゼロを実現するということは、「生産性をアップする」ということです。では、具体的にどうすればいいのでしょうか?

 答えは、「仕事の標準化」にあります。

 「標準化」とは、簡単にいってしまえば、「仕事に人を付ける」という発想です。「仕事に人を付ける」ためには、新人でも外国人でも同じ結果を出せるように、業務内容を明確にする=「見える化」されている必要があります。一方、「人に仕事を付ける」スタイルでは、業務のブラックボックス化が進み、その人に頼った状態=「属人化」が進んでしまいます。

  • ○仕事に人を付ける→仕事の見える化→標準化
  • ×人に仕事を付ける→ブラックボックス化→属人化

 仕事の標準化を仕組みとして導入しなければならないのです。こうした取り組みを実行するのが、現場リーダー、マネジャー、管理職という、いわば「現場で部下と接する人」です。

「行動」させる「仕組み」をつくる

  • 望ましい行動が測定、評価される
  • 具体的な行動を表した言葉が使われる
  • 無駄なことをやめる
  • 簡単なコミュニケーションで信頼関係ができている

 これが、「仕組み」のある理想的な環境です。

 こうした条件が整った結果、部下は自発的に望ましい行動を繰り返すのです。その結果として、自身のベストなポテンシャルを引き出し、成果を引き出すようになります。これこそが、行動科学マネジメントの目指す理想の状態です。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆