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» 2019年09月25日 07時09分 公開

視点:デジタル化時代のヘルスケア企業の長期ビジョンと中期経営計画 (1/2)

中長期のヘルスケア業界を形作る4つのキートレンドを組み込んだ上で、デジタル技術をいかに取り込んでいくかを明確にする必要がある。

[服部浄児, 尾崎宥文,ITmedia]

※本稿は、ROLAND BERGER LIFE SCIENCE STUDY「デジタル化時代のヘルスケア企業の長期ビジョンと中期経営計画」のサマリー版である。

ヘルスケア業界の4つの中長期キートレンドとデジタル技術

 かつてないほど激しく変動し、複雑性・不確実性が高く曖昧模糊(もこ)としたVUCAワールドにおいて、これまでのヘルスケア業界の常識や過去の延長線上に基づいた成長シナリオは意味を成さない。超長期の未来を見据えたビジョン(自分たちのありたい/あるべき姿)を描き、それにめがけてこれまで以上に主体的にアクションを仕掛けていくことが、企業経営者に求められている。

 中期経営計画の策定においては、中長期のヘルスケア業界を形作る4つのキートレンドである「イノベーションの進展」「患者中心の医療へのパラダイムシフト」「ヘルスアウトカム向上ニーズの増大」「新興国市場の台頭」を組み込んだ上で、重要なイネーブラーであるデジタル技術をいかに取り込んでいくかを明確にする必要がある。(図A参照)

VUKA時代に必要な経営アプローチ

デジタルヘルスビジネスモデルの台頭

 ヒトゲノムプロジェクト完了以降、生命科学研究とテクノロジーは急速に進歩している。個人の遺伝情報、バイタルデータ、生活習慣、などの莫大(ばくだい)なビッグデータを収集し正確に分析し、患者個人に個別最適化した医療を提供することが近い将来可能になると考えられる。

 「遺伝的にA疾患になる傾向があり、生活習慣は○○グループに属するXさんには、スマホのアプリやウェアラブル端末を通じたA'予防プログラムの提供と、遺伝的に副作用の少ないA''治療薬を投与する治療プログラムを提供する」といった具合だ。

 この「個別化医療」の実現のためには、「イノベーションの進展」による患者情報の収集と分析・運用を基にした「患者中心の医療へのパラダイムシフト」が必須である。個別化医療は、寛解率や奏効率などの「臨床アウトカム」だけでなく、HTAに代表される治療費用対効果「経済アウトカム」、および患者の治療満足度やQOLにまつわる「患者アウトカム」の3つ全体を包含する概念である「ヘルスアウトカム」向上ニーズを満足するだろう。

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