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» 2020年03月25日 07時00分 公開

新人が勝手に育つ「10秒会話と質問」:第2回: 新人の自発性は「10秒会話」で伸ばす (2/2)

[島村公俊,ITmedia]
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質問後の沈黙に耐える

 新人に質問を投げかけたあとに、沈黙が生まれることがあります。さて、あなたは、焦らずその沈黙を待ってあげられるでしょうか?

 沈黙は、新人が純粋に考えることで生まれる歓迎すべき時間です。この沈黙を作れば、10秒での時短育成が可能になります。いい質問であればあるほど、新人はよく考えないと答えられません。その分、沈黙は長くなりますが、しっかりと考えさせることができるので、新人の速い成長につながります。

 指導者が気を付けなければならないのは、質問のあと、“新人が一生懸命考えている間の沈黙”を待ってあげることです。指導者は、すぐに回答を言いたくなりますし、待つという行為が苦手です。なぜなら、指導者の多くは、新人の答えをただ待つという行為に対して、意味がない、効率が悪い、イライラするなど、よいイメージが持てないからです。

 しかし質問を通じた育成では、新人が考えて答えるまで、ある程度覚悟を決めて待つ必要があります。答えを提示せずに、じっと待てるかが問われます。待つといっても5分も10分もその場で待つわけではありません。3秒で質問して7秒待つ覚悟でいいのです。

 ただ、ときにこの沈黙が機能していないように感じることがあります。そのときは、「この質問、分かりにくいかな?」と聞いてみましょう。相手はなんらかの回答をくれます。 

 機能していない沈黙には2つのパターンがあります。

  • 沈黙パターンA

 新人にそもそも答えがない状態なので、回答できない沈黙

  • 沈黙パターンB

 こちらの質問の意図が伝わらず、新人が困惑している沈黙

 それぞれについて説明しましょう。

 パターンAは、いくら待っても答えは出てきません。そもそも、単純に知識がないと答えられない問いをしてしまったケースです。

 そうだと思われたときは「まだ、○○については知らなかったかな?」と尋ね、すぐに質問スタイルから丁寧に教えるスタイルに切り替えてください。

 次にパターンBですが、指導者側の質問の抽象度が高く、困惑させてしまうことがあります。「分かりにくかったかもしれないから、質問を変えてもいいかな?」と伝え、より具体的な質問に変換します。

 例えば、「あなたは自身の営業成績をどのように捉えているの?」というような抽象度が高い質問は、その意図が新人に伝わらないことがあります。そこで、「今月の新規訪問件数の減少についてどのように考えている?」というように、具体化した質問にするとだいぶ答えやすくなります。

 指導者はこれらの注意点を意識しながら、沈黙をうまく活用して主体的な新人に育てていくことが求められます。

 以上、質問による「10秒会話」とその際に発生する沈黙の重要性についてお伝えしました。ぜひ、活用してみてください。

著者プロフィール:島村公俊

人事系コンサルティング会社を経験後、2006年ソフトバンク(旧ボーダフォン)入社。

ソフトバンクユニバーシティの立ち上げに参画し、研修の内製化をリードする。

日本HRチャレンジ大賞人材育成部門優秀賞、ソフトバンクアワードの受賞をはじめ、アジア初で米国教育機関よりPike’s Peak Awardを受賞。その他、千人規模の新人研修やエルダー(OJT、メンター)教育にも携わり、新人、若手の早期育成にも貢献する。

2015年に講師ビジョン株式会社創業。社内講師の育成トレーニング、OJTトレーナー研修、新人研修などを提供する。近著に『10秒で新人を伸ばす質問術』(東洋経済新報社)がある。


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