では、具体的に何をすればいいのか。
企業は自ら変革していかなければ生き続けることはできない。社会も、市場も、お客さまもどんどん変わっていくからだ。たとえ今どんなにうまくいっていたとしても、時が経てば、今のやり方は、時代にそぐわないものとなり、必ずうまくいかなくなる。だから、企業は自ら変革していかなければならない。それが、経営トップの責任だ。
商品の種類や数が増え、取引先ものの種類や数が増えていけば、事業の規模やその業態に変化が起こる。事業の規模やその業態に応じて、適切な運営に変えていかなければならない。状況が変わっているにもかかわらず、旧態依然としたやり方を続けていけば、現場の仕事に支障をきたすのは当然のことだ。部門間に対立が起こり、組織は常に混乱し、やがて収益をあげることができなくなる。事業の大きさに適した運営をしていかなければならない。それが、経営トップの責任だ。
組織が大きくなればなるほど、経営トップ1人のリーダーシップは発揮されにくくなる。リーダーシップは、経営トップ1人だけではなく、全ての部署で、全ての階層で発揮されなければならない。現場にできるだけ多くの権限を与え、現場で働く人が意思を持って判断できる状態で仕事をさせなければ、やがて事業が立ち行かなくなる。適切かつ迅速な判断を行うために、現場に最大限の権限を与えなければならない。それが、経営トップの責任だ。
以上、知識やスキルという観点ではなく責任という観点で話をした。次回の第2回は、取締役の責任についてお伝えする。
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ドラッカー専門の経営チームコンサルティングファーム トップマネジメント
東京都渋谷区出身。ドラッカーコンサルティング歴約33年。外資系コンサルティング会社勤務時、企業向けにドラッカーを実践する支援を行う。中小企業の役員と上場企業の役員を経て、ドラッカーの理論に基づいた経営チームをつくるコンサルティングを行う、トップマネジメントを設立。現在は上場企業に「経営チームの研修」「経営幹部育成の研修」「後継者育成の研修」を行っている。
著書に『ドラッカーが教える最強の後継者の育て方』(同友館)、『ドラッカー5つの質問』(あさ出版)、『新版 ドラッカーが教える最強の経営チームのつくり方 』(同友館)、『日本に来たドラッカー 初来日編』(同友館)、『ドラッカーが教える最強の経営チームのつくり方 』(総合法令出版)、『ドラッカーのセミナー』(Kindle)、『ドラッカーが教える最強の事業承継の進め方』(Kindle)がある。主な連載に『ドラッカーに学ぶ成功する経営チームの作り方』(ITmedia エグゼクティブ)がある。ほか多数。
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