付加価値を生み出す人、会社になるにはどうしたらいいのか? 従業員の平均年収は2000万円超え、本体の1人当たりの営業利益額が1億円超えという会社に学ぶ、付加価値の作り方とは。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
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もし、あなたの会社の営業利益率が5%だったとして、原価・販管費(いわゆるコスト)はそのままで、価格を20%UPできたとしたら、……あなたの会社の利益はどう変化するでしょうか?
答えは……利益が5倍になります。
逆に、価格を下げることになったり、原価・販管費だけが上がって価格を上げることができなかったりしたら、会社の利益はどうなるでしょうか?
とんでもなく利益が減るのが分かるでしょうか。つまり、価格の上下だけで利益が格段に変わるのです。
このように、いかに売上や利益を、効率よく増やしていくのか。
そのキーとなるのが、付加価値なのです。
あなたに払われる給料(もしくは報酬かもしれない)はどこから来るでしょうか? 会社が払っていると思うかもしれないが、実際は、1円残らず、あなたの(あなたの会社の)お客様が払っています。そして、その報酬はなぜ払っているのでしょうか? それは、お客様が“価値”を得たいからに相違ありません。
こう聞くと当たり前のように、簡単に聞こえるかもしれません。しかし、私はコンサルタントとして活動する中で、よくこのようなことを経営者やコンサルタントから聞きます。
心が大事、理念が大事、精神性が大事……と。
もちろん、心も理念も精神性も大事だと思います。しかし、その心も理念も精神性も考える順番が違います。これら全てを崩し、最終的に人に生きづらさを与えているのは何でしょうか?
それは、人が命の時間を使って創造する付加価値の低さです。
付加価値が低いから……会社の利益が低い
利益が低いから……給料が低い(上げると会社が潰れる)
給料が低いから……未来が不安・より長く働く
より長く働くから……時間が無くなり、家族との時間も無くなる
時間が無く・お金もないから……何かをしたいという欲望も、家族の要望(旅行に行きたい、良い体験をさせたい)をかなえたいという気持ちはあっても、実現できない欲望も要望も満たせないから……自分よりも可哀そうな人を攻撃する・他の人にも我慢を強いる。
書きつづればいくらでも出てきます。
付加価値のつくりかたは、心を大切にしたい、人を大切にしたいと思い、一生懸命働いて生きているにも関わらず、経済的・実質的に未来に不安がある、そんな人に対して、その辛さの原因を追究し、より生きやすくなり、物心共に豊かになってもらうための考え方なのです。
では「付加価値を生み出す人・会社になるにはどうしたらいいのか?」
そのために日本の中で最も付加価値のつくりかたに精通していると考える会社にフォーカスを当てました。かつて私が在籍していた同社は、ファクトリー・オートメーション用センサや計測器など、さまざまな機器を開発・製造販売している、時価総額17兆円を誇る会社です。何と、従業員の平均年収は2000万円超え、本体の1人当たりの営業利益額が1億円超えという驚異的な会社として、メディアでも定期的に紹介されるなど、大きな注目を集めています。
キーエンスを取り上げる理由は、この驚異的な成果を出している会社が最も大切にしていることが、「付加価値の高い商品を創造して、お客様に提供すること」だからです。
そしてこのキーエンスが掲げる経営理念がこの「最小の資本と人で、最大の付加価値を上げる」なのです。この経営理念が具体的にどのようなことを意味するのかについて、1つ分かりやすい例を挙げて説明します。
皆さんは次の2つのうち、経営的にどちらがよいと思いますか?
(1)売上5億円 利益1億円
(2)売上3億円 利益1億円
両方とも同じ「1億円」の利益を出しています。利益は同額ですから、売上で考えれば、(1)のほうが良い会社に見えるでしょう。
しかし「最小の資本と人で、最大の付加価値を上げる」という考え方の下では、(2)がよいのです。なぜなら、(2)のほうが「同じ利益(付加価値)を生み出すためにかかった資本(工場・設備・材料)と、さらに、そこで働く人の命の時間(工数・労働時間)が少ない」からです。
つまり、同じ利益を上げるためにかかった資本と命の時間が多い(1)のほうは効率が悪い、ということになるのです。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授