「最近の若者は」と言っていても始まらない人材育成。若手人材からの不満の声と企業からの求める声。ここに人材育成のヒントがある。
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10年以上前からずっと会社の退職・転職理由は「社内の人間関係」です。
企業側にも「新入社員に求めるものは?」と質問をすると必ず「コミュニケーション能力のある人材」と「コミュニケーション」というキーワードが出てきます。
若手人材からの不満の声と企業からの求める声。ここに人材育成のヒントがあるのです。
「最近の若者は」と言っていても始まらない人材育成。まず彼らが育ってきた学校教育の今はどのようなものでしょうか?
現在の公立小学校はすでに2016年から男女関係なく「さん」で呼称統一されるようになりました。これは性差をなくすという意味や本来の自認している性別と呼称のアンマッチを防ぐ意味からスタートしました。このような環境下で現在の若者には男だから女だからという概念はますますなくなっていくでしょう。
また、私自身保護者として子どもたちの授業参観に行った経験がありますが、実際に先生が「さん」で子どもを呼ぶことで何となく先生と子どもの「距離感」については違和感を覚えました。ただ、違和感を持ったのは私が40代だからで、きっとこれが今後のスタンダードなのでしょう。
私が小学校、中学校の時のマラソン大会といえば距離が決まっていてスタートラインから一斉に走りはじめゴールでは1位から順位を決めるのは普通でした。現在高校1年の息子が小学校5年生くらいの頃にマラソン大会が一変したのは衝撃的でした。
マラソン大会ではなく「記録会」と呼んでいたように記憶しています。要は時間で20分と決めて一斉にスタートし学校の校庭のトラックをぐるぐる走ります。20分たったところで終了。それぞれが何周走れたかを先生に申告します。親が見に行っても誰が1位かはよく分かりません。
要は順位を決めないのです。特に公立学校においては学力、運動においても順位を決めない傾向は今後ますます増えていくのではないでしょうか。
40代、50代の管理職者と話していると若手社員について「自責が足りない」「仕事が自分ごとになっていない」という声をよく聞きます。自責とは自分の責任、自分のこととして行動する、考えるという意味ですが、まず「自分ごと」をさらにかみ砕く必要があります。
それは「自分が変わらなければ(成長しなければ)いけない≒周りは自分に合わせてくれない」と思うことです。実は今の学校教育にはこの環境がとても少ないように思います。例えば「クラスの〇〇さんとけんかしたからもう学校に行きたくない」と生徒が家庭で言ったら学校の先生はどうするか? 実際に聞いた例ですが、連絡がきたその日にクラスで席替えを実施したそうです。
今は家庭が簡単に学校にクレームを入れる時代です。親が学校に「対応しろ」と求める時代です。その学校で育った子どもたちは「自分が変わらなくても周り(学校や先生)が対応してくれる(変わってくれる)」という環境で育っています。果たしてその子どもたちに社会に出て「自責」という言葉で彼らに気付きを与えることはできるでしょうか。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授