既存との融合がテーマ――WEBとビジネスの展望【年末年始特別企画】コミュニティーリーダーが占う、2008年大予測

2008年のWebとビジネスの関係は、もはやネット単独ではなく、既存との融合が大きなテーマとなる。ネットの第1世代とも言うべき企業は限界が見え始め、業界再編への流れが加速する可能性もある。

» 2008年01月04日 08時00分 公開
[本荘修二,ITmedia]

 マクロ的には2008年も昨年のWeb利用のトレンドが継続する。利用量はさらに増加し、アクセスデバイスの変化に注目するべきである。既にSNS首位の「mixi」はモバイルでの閲覧がPCを超えたそうだが、PCからモバイルによるネット利用へと重心がシフトしていく。言い換えるとモバイルからのネット利用量が大きく増加する。また、任天堂のゲーム機「Wii」などPC・携帯以外のデバイスでのネット利用が立ち上がるであろう。

 ブログで使用される言語として日本語が英語を抑えて1位になっているが、さらにソーシャルメディアは増殖し一般化していく。UCC(ユーザーが作るコンテンツ)をドライバーとして動画やフラッシュなどリッチコンテンツがさらに拡大する一方で、プロフ(携帯電話やPCで簡単に作成できるインターネット上の自己紹介サイト)や裏サイトといった問題をはらむものも浸透が進む。

 なお、携帯サイトについての規制が議論されているが、ネットの特性を理解しないままの方策が取られないよう願いたい。例えば「魔法のiらんど」のように文化促進的なものまで一律に規制するのはいかがなものだろう。

 企業ユーザーは、自社メディアとしてのネット利用にやっと本格的に取り組む動きが出てくるであろう。SEM(サーチエンジンマーケティング)などの技術も多くの企業が採用することになる。もっとも、組織・体制的な課題があるため、十分な活用には時間を要することになる。

 そこではもはやネット単独ではなく、既存との融合が大きなテーマとなる。これは「続きはWebで」といった単純なテレビCMではなく、複数の顧客接点をマルチ・チャネルとして協調させたものを意味する。同時に組織横断的な取り組みにも着手される。グループで分散したWebが連携され、トータリティー(全体性)が生かされるであろう。(参考図書:『大企業のウェブはなぜつまらないのか』ダイヤモンド社

 顧客だけでなく、代理店などビジネス・パートナー向けのWebも少しづつだが増えるだろう。そしてSNS、ブログなど社内向けのWebは実験的なものにとどまらず、本格的な社内ポータルの導入とあいまって、珍しいものではなくなるであろう。

見え始めたネット第1世代の限界

 しかし、Web関係の事業者にとっては、必ずしもバラ色の展望とはならない。ネットの第1世代とも言うべき企業は限界が見え始め、業界再編への流れが加速するであろう。これは多くのネット関連企業がWeb1.0にとどまっており、Web2.0つまり既に一巡した既知のものでなく将来に向けて発展するものとなっていないことが背景にある。付言すると、上記のようにネットだけでなく、顧客企業の視点でトータルに問題を解決してくれるネット関連企業が極めて少ないことも指摘される。

 同時に、海外企業の勢いが日本にも顕著に影響してくる。これは日本がリーダーシップを執っていたモバイルの世界にも波及する。ここでいう海外企業は、グーグルやアップルのような大手だけでなく新興ベンチャー企業も含んでの意味である。

 総じて日本勢にとっては、チャレンジの年となるであろう。

本荘修二氏が主催するエグゼクティブ・コミュニティー

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