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» 2010年07月01日 15時43分 UPDATE

ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術:「ラッキー」をつかみ取る技術

「これ以上ないと思えるほどラッキーな人生を送っている」ラッキーな人の特徴とは何か。

[小杉俊哉,ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」のバックナンバーへ。


 あなたは、自分のことを「ラッキー」だと思いますか、あるいはそう思いませんか。その前に、あなたは、「ラッキー」とは何だと思いますか。

lucky.jpg 『ラッキーをつかみ取る技術』

 英語の「Lucky」は、形容詞が「運の良い、幸運な、幸福をもたらす」、名詞が「幸運なもの、幸運をもたらすもの」と良い方にだけ使われています。一方、日本人の多くは、「ラッキー」は、自分自身が何か働きかけた結果としてではなく、思いも掛けず転がり込んできたもの、「棚からぼた餅」「ひょうたんから駒」のようなものととらえているようです。これは、運、機会、などと同様に良い方にも悪い方にもどちらにでも転ぶもの、という考え方です。

 つまり、「ラッキー」は、ポケットに入れたまま忘れていた千円札を発見したときとか、テニスで相手がダブルフォールトしたときとか、自らの力が及ばないところで偶然「起こる」ものであって、自分自身が必然に「起こす」ものではないというとらえ方です。

 スタンフォード大学ジョン・D・クランボルツ博士のプランド・ハプンスタンス(計画された偶然性理論)は、まさにラッキーは偶然に任せていてはけない、というものです。博士は、筆者も所属する慶応義塾大学のキャリア・リソース・ラボラトリが日本に紹介したのをきっかけに、人材開発やキャリア・カウンセリングをされている人には、いまやすっかり有名です。

 ラッキーを待っているのではなく、行動を起こす、行動を変えるのです。以下は2001年の来日時の基調講演から引用したものです。

好奇心

  • 自分の興味を見つけるために自身の好奇心に従え
  • 必要なスキルを学べる(ということがわかる)仕事を受け入れろ
  • 良い仕事は貴方を挑発し、好奇心をそそらせる

持続

  • すぐにあきらめず、結果が出るまでやり尽くしてみろ
  • 生涯学び続けろ
  • 仕事で求められている以上にそこから学び取れ!

楽観

  • ラッキーを作り出せ!
  • ゴールはトンネルの向こう側にある

リスクテイキング

  • ミスを犯せ!
  • 古い考えに立ち向かえ!

柔軟

  • キャリア・ディシジョンをするな
  • キャリアは偶発的事象の結果だ、偶発的事件を作り出せ!

 この理論は本書でももちろん紹介していますが、中で取り上げている多くのラッキーな人たちは皆、このような行動を取っていることが分かると思います。

 その後グランボルツ博士が著した本のタイトルは、まさに「Luck is no accident」(幸運は偶然ではない)です。

 もしラッキーは偶然に起こるものだとすると、世の中には、いつも運がいい、ツイている、ラッキーな人というのはどうして存在するのでしょうか? もし「ラッキー」が偶然起こるなら、誰にも同じような確率で起こらなければおかしいはずです。わたしは、そのことに大変興味を持ちました。それがこの本を書こうと思ったきっかけです。そして、ラッキーな人にインタビューをしたり、調査をしたりしてまとめたのがこの本です。

 

 本書では、ラッキーな人の行動特性を示し、ラッキーに備える、→ラッキーを呼び込む、→ラッキーを見つける、→ラッキーを取りにいく、→ラッキーをモノにするという構成でまとめています。

 いろいろな発見があったのですが、例えば、以下を紹介します。

 あなたが、もし自分のことをラッキーだと思っていれば、あなたの周りにもラッキーな人がたくさんいるはずです。もしラッキーだと思わなければ周りにラッキーな人はあまりいないはずです。つまり、ラッキーな人は偏在しています。ラッキーな人同士で「ツルんで」います。

 そして、お互いに情報のやり取りや、支援をしてよりラッキーになっています。これに関しては、ネットワークの理論の第一人者として著名なミシガン大学のウエイン・ベーカー教授が長年の調査の結果、こう結論付けていることとも符号します。「キャリアの成功とは社会性を伴う=すなわち人との関係で決まる」と。(『ソーシャルキャピタル』中島豊訳 ダイヤモンド社より)

 それ以外にも多くのラッキーな人の特徴に関する気付きがありました。以下はごく一部ですが、各項の要点を紹介したものです(順不同)。

  • 毎年新しいことにチャレンジをする計画を立てて、実行している
  • 自分が今日あるのは周りの人たちのお陰だと思う
  • 人の話を良く聴こうと心がけている
  • いつもやりたいことが多くて困ってしまう
  • 人によって態度を使い分けるようなことはしない
  • 必要な人が必要な時にやってくると思うので、そのためにも自分を高めて備えて

いる

  • 大変なことや、アンラッキーなことがあっても、それは自分に必要なことだったと思う
  • 自分はパターン認識や法則を見つけるのが得意だ
  • 健康・体力の維持向上のために、定期的に運動な運動を行っている
  • 感謝の気持ちをもって毎日を送っている
  • 自分の得意の型(勝ちパターン)に持ち込むことが得意だ
  • 自分の幸せは他の人にも分けてあげようと思う

 自分ばかりではなく、ラッキーな人はそのエネルギーとポジティブな行動によって周囲に影響を与え、人を引きつけ、結果周囲の人も感化され、同じような行動をとることによりラッキーになるように影響を与えていることが分かるのではないでしょうか。

 もっと単純な例としては、ラッキーな人は「この時代に日本に生まれたこと自体がラッキー」、「毎日こうして健康で無事に家族で生活できていること自体がラッキー」と、そのことに感謝して日々送っています。普段忘れてしまいそうな小さなことにでも、ラッキーだと思うこと、ラッキーを見つけられること、その積み重ねがラッキーを呼び寄せるのだと多くの人たちを見て実感しています。

 わたしが行ってきたキャリア自律研修や、リーダーシップ研修の受講者にも本書を勧めているのですが、気付きを得て、自ら行動を起こし、行動を変えることによってラッキーになり、自らが描くキャリアの成功を得ていった多くのかたがたを見るのは本当にうれしいことです。

 ちなみに、わたし自身がこれ以上ない、と思えるほどラッキーな人生を送っていると自負しています。

 本書を著したあと、さらに新たに調査を行い、それを統計的に分析し、ラッキーであることを決定付ける因子を見つけ出しました。それを基に近く続編を著したいと思っていますので、ご期待ください。

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著者プロフィール:小杉俊哉

koba.jpg

合同会社THS経営組織研究所代表社員。1958年生まれ。早大法を卒業後、NEC入社。マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニー、ユニデン人事総務部長、アップル人事総務本部長を経て独立。2001年より慶大大学院政策・メディア研究科准教授を兼任。専門は人事・組織、リーダーシップ、人材開発、キャリア開発。ベンチャーを中心に複数社の社外取締役を歴任。企業幹部向けのリーダーシップ研修でも経験をベースとした語り口にファンが多い。著書に『好きにやっても評価される人 我慢しても評価されない人』(PHP)、『ラッキーをつかみ取る技術』(光文社新書)、『29歳はキャリアの転機』(ダイヤモンド社)など。


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