SOAやBPMで顧客基点のサービスを迅速展開するNTTドコモや三井住友海上BEA Japan Forum 2007レポート(2/2 ページ)

» 2007年11月05日 07時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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 9が6つ並ぶシックスナインとは、年間のダウンタイムが30秒程度という驚きの高可用性だ。もちろん計画停止はない。NTTドコモは、徹底した冗長化とサービス無停止を実現する障害局所化の設計を取り入れている。

 例えばこうだ。家族間の電子メールを無料とするためには、顧客マスターを参照しなければならない。顧客マスターの参照は非常に重要なのだ。そこで、顧客の情報を扱うシステムを参照と更新に分けてそれぞれ冗長化し、また参照と更新のシステムは同期を取らせる。こうすることによって、更新システムに障害が発生してもフェールオーバーされるし、仮に更新のスタンバイシステムまで停止した場合にも、その時点まで同期が取られた参照用のシステムによってサービスを継続できるというわけだ。

 また、CiRCUSはアクセスレイヤ、サービスレイヤ、およびプラットフォームレイヤという3階層のアーキテクチャーで構築され、必要最低限の疎結合化によって障害の局所化を図るとともに、同一機能の共通化や再利用を進めてきた。

 「CiRCUSの設計を始めた2001年にはSOAのツールはなかったが、振り返ってみればSOA的なアプローチだった。BEAのSOAリファレンスアーキテクチャーとの類似点もあり、ソフトウェア開発の効率化を図るためにも、性能と品質が担保されるのであれば、BEAのAquaLogicファミリーをサブシステム構築に採用していきたい」と青山氏は話す。

「信頼獲得に寄与するITが求められている」と三井住友海上

 2005年以降、保険会社の保険金不払い事件が相次いだ。損害保険大手の三井住友海上火災保険も例外ではない。医療保険や疾病保険に代表される第三分野保険において、大量の不払いが確認され、2006年7月には金融庁から行政処分を受けた。

 三井住友海上火災保険のIT推進部で損害サービスと海外システムを担当する玉田氏は「病気をしたり、損害があれば、保険金を支払う、という当たり前のことがきちんと出来ていなかった」と話す。

 行政処分を境に同社は、抜本的な経営管理態勢の改善に乗り出す。今年3月には、他社に先駆けて不払いの調査結果を発表し、再発防止策も取りまとめた。

 「顧客基点の品質向上を基本戦略とし、信頼を勝ち取り、それによって成長するという変革にグループを挙げて取り組んでいる」と玉田氏。

 きちんと迅速に保険金を支払う「当然品質」に対して、損害サービスを通じて信頼され、選ばれる「感動品質」の実現には、情報システム部門も重要な役割を担っている。今年2月に設置された損害サービスイノベーションプロジェクトチームには情報システム部門の参画が求められ、ビジネスとITが一体となって顧客基点の業務プロセス改革に取り組んでいる。

 「顧客不在の事務処理があったり、顧客の“知りたい”という声に応えられず、それが顧客の不満や不安につながっていた」と玉田氏は話す。

 損害サービスイノベーションプロジェクトチームは、顧客の体験プロセスのあるべき姿を策定、一部の損害サービスセンターにおけるパイロット検証を経て、来年10月から新たなビジネスプロセスを全国に展開していく計画だ。

 「ITも機能指向からサービス指向へと変わろうとしている」(玉田氏)

 2005年、従来型の開発手法に行き詰まりを感じていた玉田氏は、ビジネスプロセスモデリングやBPM(ビジネスプロセス管理)、あるいはSOAに注目し、技術や製品に関する調査研究に着手した。

 品質感動を実現する新たなビジネスプロセスづくりのために選ばれたのが、IDSシェアーのARISとBEAのAquaLogic BPMだ。ARISで作成したモデルをAquaLogic BPMに取り込み、ビジネスプロセスとして実装していく考えだ。

 玉田氏は、「標準化が不十分でツール間の連携もうまく行かないが、モデリングは、ビジネスとITが共通で議論できる“地図”をもたらしてくれる」とそのメリットを話す。

三井住友海上のIT推進部で損害サービスと海外システムを担当する玉田孝一郎部長

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