ベンダーや業界アナリストによると、オンデマンドやSaaS方式にすれば、PLMのコストは伝統的な社内実装の3分の1程度に抑えられるという。ただ、ユーザーの多くが、データセキュリティや知的財産の管理と保護に大きな懸念を抱いているのも事実だ。
そうした懸念を、中堅・中小企業計270社はカリフォルニア州フォスターシティにあるアリーナ・ソリューションズと契約を結ぶことにより、打ち消している。アリーナはPLMソフトウェアで最有力のオンデマンド・プロバイダーだ。
同社のCEO、マイケル・トポロバック氏は「競合という点では、われわれもまだExcelのスプレッドシートに負けている。この市場はまだ発展途上だ」と言う。
アリーナの顧客の場合、平均的な契約金額は2万5000〜3万ドル、最低で5000ドルだ。「10万ドルのPLMソフトウェアシステムを購入した場合、そのシステムを運用するために必要なITインフラの構築や保守、人員の確保には、同じくらいのコストがかかる。オンデマンドなら、そうしたコストはゼロだ」(トポロバック氏)。
ボストンのカラー・キネティクスは、売上高5300万ドルのデジタル照明メーカー。オンデマンド方式を早くから採用した企業の1つだ。同社は2001年、アリーナの2番目の顧客として契約を結んだ。ドットコムバブルが弾け、会社の機密データを他社のシステムに依存することは「極めて危険」だと考えられていた時期だ。
カラー・キネティクスのCTO、フリッツ・モーガン氏は、その時のことをこう思い返す。「最悪のケースを考えた。ここで失敗しても、少なくともわれわれのデータはすべて構造化したフォーマットに収められる。そのときは別のPLMシステムを探そう」
当時、エンジニアリング担当副社長だったモーガン氏は、「ただ、われわれは世界中のどこにいてもWeb経由でアクセスできるシステムが、どうしても必要だった」と話す。そしてモーガン氏は、3社の異なるシステムを部下のエンジニアたちに検討させた。「結局、エンジニアたちがOKしなければ、システムは無意味だからだ」と、モーガン氏もまた、PLMシステムに関する金言を口にする。
アリーナのサービスは、まだ利益を出していない非公開の企業にとっても手が届きやすい選択肢だった。カラー・キネティクスは現在、1シート当たり約1000ドルを支払い、1万点以上の製品情報をアリーナのシステムに保管している。
「中国などの販売店も、すべてこのシステムにオンライン接続している。特別なソフトウェアなしで利用できるため、彼らからの評判も上々だ。弊社のIT部門がこのシステムを気に入っているのは、まったく手がかからないから」と、モーガン氏は言う。
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