中堅企業向けのPLMはローコストなSaaSからハイエンドなソフトウェアまで、さまざま。PLMを導入したアシュワースのIT担当副社長は「華美なキャデラックは必要ない。実用的なフォード車で十分だ」と考えている。予算的に無理ならあきらめる?
中堅企業にとって、PLMの選択肢は幅広い。コスト的なローエンドは、オンデマンドのプロバイダーを利用することだ。リモートホスティングサービス付きで、1ユーザー当たり年間数百ドルのコストで済む。ハイエンドだと、伝統的なエンタープライズソフトウェアプロバイダーが5〜10万ドルのものを提供している。
PLMは2000年代初頭から急速に価格が低下するとともに、インストールが容易になるなど管理の複雑さも解消された――そう指摘するのは、ミシガン州アン・アーバーに本拠を置くPLM専門コンサルティング会社、CIMデータのリサーチディレクター、ケン・アマン氏だ。同社は300社ほどのPLMプロバイダーを調査している。
アマン氏によると、ベンダー側も中堅企業向けにはどのようなパッケージが適切なのか、まだ手探りの状態。ベンダーの能力にもばらつきがあるという。比較的小規模な企業を狙った市場での競争も、「多くの新興ベンダーがひしめき、大手ベンダーにプレッシャーをかけている」とアマン氏は語る。
一般的な中堅企業が、例えばPLMベンダーのアジル・ソフトウェアのオンデマンド・サービスを利用する場合、「実装コストも含めて、費用は8000ドルから。最大2万ドル」と試算するのは、カリフォルニア州サンノゼのSMEソリューションズのゼネラルマネジャー、クレイグ・リビングストン氏だ。さまざまなライセンシングオプションと組み合わせた、伝統的な社内実装で料金は2万ないし5万ドルから、実装化とトレーニングで1〜2万ドルの追加コストが発生するという。
「何を求めるのかにもよるが、納得のいく実装には20〜30万ドル程度のコストがかかる」と言うのは、ダッソー・システムズのPLM事業部門であるエノビア・マトリクスワン上級副社長、マイク・シーガル氏。「プログラム管理とサプライチェーン・フックアップ機能を含む本格的なPLMシステムであれば、1シートあたり3000〜4000ドルになる」
大企業と中堅企業向けのサービスを提供するUGSの「Velocity Series」マーケティング担当副社長、ブルース・ボーズ氏は、ユーザーによって考え方に顕著な違いがあると指摘する。
「大企業の場合、最高クラスのプロセスをすでに運用している。それに適合するようにシステムをカスタマイズできるかどうかが重要になる。一方、小規模な企業では、最高クラスのプロセスを机の上にドンと置かれて「さあ、どうぞ」と言われるようなサービスを求めている」
エンタープライズレベルのPLMユーザーは、仕事を遂行するためには「ほとんどコストを気にしない」とボーズ氏。だが、「小さな企業は、『ちょっと問題はあるが、予算的に無理ならあきらめる』という態度だ」と語る。
ゴルフアパレルメーカー、アシュワースのIT担当副社長フランク・マクマスター氏は、そうした見方を否定しない。「このプロジェクトの予算は数十万ドルのレベルだが、50万ドルを超えることは絶対ない」と、ぶっきらぼうに断言する。「たとえ半年間、あれこれ議論しても、50万ドルを超えるならお引き取り願うだけだ」と。
マクマスター氏は、PLM市場を調査したところ、どのシステムも「基本的には同じ」という認識に至ったという。つまり、Webベースで、ERPシステムとの統合が容易な、アパレルビジネスに最適化されたシステムを求めてはいるが、最高級のシステムである必要は一切ないということだ。
マクマスター氏は「そもそも、スプレッドシートから始めたんだ。われわれに華美なキャデラックは必要ない。実用的なフォード車で十分なんだ」と表現する。
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