ラヘイン氏がUGSのソフトウェアに関して最も強く懸念した問題は、オラクルデータベースプラットフォームが必要だったことである。リトルヒューズでは、マイクロソフトのSQLサーバが支配的だったため、オラクルをサポートすることは気が進まなかったのだ。
「多くのCIOがオラクルに満足していることは承知してるわ。けれど、オラクルDBA(データベース管理者)にアウトソースする場合のオーバヘッドコストを考えれば、できるだけ避けたかった」という。結局、UGSがSQLサーバのバージョンを追加したため、この問題は容易に回避することができた。
PLMによって利益がもたらされる産業分野にも変化が現れてきた。早くからPLMを活用している自動車や製造、航空宇宙の大手に加え、今日では加工や組み立て、日用品、小売、ハイテク、エレクトロニクス分野の多くの企業でPLMの採用に踏み出している。
カリフォルニア州サンノゼのフォトン・ダイナミクスは現在、アジル・ソフトウェアのPLMシステムを使って製品情報を管理している。だが、製品ライフサイクルの製造セグメントでも調達セグメントでもサポートセグメントでもない。「それらのセグメントに関してはほかの製品を利用している」と語るのは、2006年5月に従業員160人の企業で新システムの運用を開始したフォトンのCIO、リー・ペニング氏だ。「われわれはPLMの新しい方向を目指している」と語る。
サムスン・エレクトロニクスやシャープなどが生産する液晶ディスプレー向けの検査およびテスト機器を製造するフォトンでは、以前使っていたシステムで失敗していることから、PLMに対してはうがった見方が広がっていた。それでも同社は、数万点に及ぶ部品の情報やそれらの変更を正確にトラッキングできるシステムを必要としていた。
「新システムを実装できれば、データの一元化を実現でき、大きな利益を得ることができる。効率的な在庫管理も可能になる。それは単なる、一時的なソリューションではなく、戦略的、包括的な改革になる」とペニング氏は強調する。
家電産業では激しいな競争が行われ、恒常的に変化が起こっている――実際、液晶メーカーは6カ月ごとにガラス基盤のサイズを変更している――中で、フォトンは新しい部品番号を途切らせることなく生成する「非常に短期的な設計サイクル」を強いられていると、エンジニアリングサービス担当マネジャーのレイ・ヘック氏は語る。
「われわれは、アジルの製品を自社のプロセスに適合させるように、手作業でカスタマイズした。それによって変更管理の視認性は飛躍的に高まった。変更のトレーサビリティとすべてのドキュメントへのアクセスを実現したことは、実に大きな進歩だった」と言う。
フォトンの8名のITスタッフの1人で、ビジネスアプリケーション担当マネジャーのブレント・ジョーンズ氏は「今回、システム運用を開始するに当たってトレーニングに力を入れた。実装化が終了するまでに、プロジェクトを成功に導くための強固な足場を築くことができた」と話す。
ヘック氏は、部下のエンジニアが廊下で自分を呼び止め、「泣き叫びたくなるほど、このシステムが気に入りました」と目を輝かせて話しかけてきたとき、システム運用がうまくいったことを確信したという。
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