経済ジャーナリストの財部誠一氏によると、日本企業にはグローバルな視点で経営を行う仕組みが必要だという。「もちろん、ITはそのための“武器”にほかならない」
今、世界市場は未曾有の好景気に沸いているという。
「世界経済はこの5年間連続で、GDPペースで4%を超える成長を続け、有史以来の好景気に沸いている。このチャンスをものにするには、グローバルな観点で経営の舵を切る必用がある。もちろん、ITはそのための“武器”にほかならない」――。
ガートナー ジャパンは12月30日、「ビジネスとITの融合」をテーマにしたイベント「SYMPOSIUM ITXPO2007」を開催。その基調講演で、経済ジャーナリストの財部誠一氏は、世界経済の好調さを踏まえた成長に向け、ITを駆使したグローバル経営に取り組む必要性を説いた。
財部氏によると、世界市場と同様に国内市場も堅調に推移。ここ数年のGDPデータからも、すでに国内の景気回復は明らかだという。にもかかわらず、同氏が経営の海外シフトを強く説くのは、国内市場がすでに成熟期を迎えているからだ。ここ5年連続でGDPは成長を続けているものの、国内GDPは約500兆円に達しており、10%超えるような過去の経済成長を期待することは難しいというわけだ。
「米国のサブプライムローン問題により、世界経済を悲観視する日本人が非常に多い。だが、その不良債権額は、かつて日本が抱えていた額の半分ほどにすぎず、世界経済に与える影響はそれほど大きくないはず。海外に目を向ければ、企業にはまだまだ成長の余地が残されている」(財部氏)
景気がここまで回復したのは、海外で売上を伸ばした企業が増えたからといえる。その代表がトヨタ自動車だ。
同社は90年代、日米貿易摩擦に端を発した米国の輸入制限措置により、北米での自動車の生産に着手。その後、生産活動を欧州や中国などグローバルに拡大させてきた。
注目すべきは、その過程における売上と利益の双方の伸び率である。同社はこの10年間で売上を2倍に拡大したのに対し、利益の伸び率は5倍にまで達しているのだ。
「トヨタ自動車は北米での生産を開始したことで、“現地生産”の方がより多額の利益を得られることに気づいた。物流コストが大幅に削減されるからだ。これを機に、同社はグローバルな視点でビジネスモデルを変革し続け、利益の極大化を図ってきた」(財部氏)
例えば、トヨタでは北米での現地生産を拡大させる一方で、現地でのマーケティング活動にも着手。拡販に向け、あえてトヨタブランドを破棄し、その代替として「レクサス」ブランドを打ち立て、高級車市場で存在感を築くことに成功した。一方で、部品の供給体制もグローバルに見直し、税制面も考慮した上で物流網の最適化を着々と進めてきたという。
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明治学院大学 経済学部准教授