人の体に例えると、健康体とは、血流がよく、体の隅々まで酸素が行き届いている状態である。組織に置き換えると、「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」が活発である、ということになる。不健康な組織は往々にして「ホウレンソウ」が活発でない。
現場で起こっている・気付いている問題を報告しない、報告できない、報告しても無視される組織、これが「偽」を生む組織の原因であることが多い。しかし皮肉にも、内部告発としてマスコミにきちんと"報告"され「偽」が発覚――という結末だ。
「ホウレンソウが活発でない」というのは、あくまでも現象面なので、もう一歩踏み込んで、「なぜホウレンソウが活発でないのか」という真の問題点をとらえることが必要である。
真の問題点は、経営者の影響力に潜んでいる。公判が進む食肉偽装のミートホープの例では、経営者は明らかに品質や安全をないがしろに売り上げや利益を優先していた。部下である役員や社員たちが品質や安全のために売り上げが下がるような提案をできる雰囲気や風土はなかったものと推測される。経営者の価値観に沿った行動を強制されていたのだ。そして、社内の問題はタブーと化し、上下左右の「ホウレンソウ」はなく、経営者からの指示命令で行動する組織風土が出来上がってしまった。
私も親交のあるジャック・ウェルチ元GE会長をコーチしたマーシャル・ゴールドスミス氏は著書『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』で、経営者や役員・管理職などのエグゼクティブが持っている20の悪癖が職場に与える影響と改善方法を指南している。20の悪癖とは次のようなものだ。
(出典:コーチングの神様が教える「できる人」の法則)
ポストが高くなるにつれ、一挙手一投足が組織に与える影響は大きく、致命的になる場合もある。ぜひ自身を偽ることなく素直に振り返り、ひとつでも悪癖の改善ができれば、ご自身のキャリアにとっても組織にとっても良い結果をもたらしてくれることと思う。
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授